Boris with Merzbow

Boris with Merzbow, 2016

――RelapseにはBoris側からアプローチしたということですか?
 「はい。Relapseとは昔から、話をする機会が何度かあって。実際に仕事をしたのは今回が初めてなんですけど、自然な流れでした。Boris with Merzbowを海外でリリースするならRelapse。自然に導き出される答がそれでしたね」

――Release Entertainmentのロゴとかも付けてくれたらさらに嬉しいですけどね(笑)。
 「そこまではしてくれなかったですけど(笑)。まあ、文脈は大事にしています。ENDONもそうですけど、文脈、必然性とか、そういうものはやっぱり大事。必然性から生まれる一期一会というか」

――今はFULL OF HELLみたいな若いバンドが『Pulse Demon』オマージュのTシャツを作っている時代ですからね。
 「そうそう。Merzbowに影響を受けた世の中のバンドはみんな、『Pulse Demon』デザインのTシャツを作ったほうがいいですよ。秋田さんはきっとOKしてくれると思うし。Borisも公認で作らせていただいています。みんなで『Pulse Demon』を増殖させたいですね」

――デザインの話に戻ると、今回のカヴァー・アートは何のイメージなんですか?
 「これは牛です。先ほどもお話したように、秋田さんは牛をテーマに作品制作を進められていて、 “アートワークは牛をモチーフにしたい”ということで。さっきのPINK FLOYDの話とは相反する感じにはなっちゃいますけど、最初は『原子心母』みたいなイメージだったんですよ。でもさすがに有名過ぎるしなーっていう感じになって……。とりあえず牧場に写真を撮りにいきました」

――わざわざ牧場まで!個人的には、PiL『That What Is Not』を逆さにしたように見えました。
 「僕的には、日本盤はピラミッド……とあるオムニバスのジャケットのイメージなんですよね。あんまりイメージを限定し過ぎるのもつまらないので、話すのはやめておきましょう(笑)」

Boris with Merzbow '現象 -Gensho-' Expanded Edition, 2016 Daymare Recordings
Boris with Merzbow ‘現象 -Gensho-‘ Expanded Edition, 2016 Daymare Recordings

――秋田さん的には、食肉に対するプロテストが含まれているわけですよね。
 「もちろんそうだと思います。アニマルライツを主軸にされているので」

――Atsuoさんもヴィーガンとして生活されているわけですが、BorisもMerzbowも、受け手個人の何かを否定するためにやっているわけではないですよね。
 「そうですね。僕個人は、秋田さんの影響でヴィーガンの生活を始めました。そうすることで、その人たちの気持ちや立ち位置、価値観というものを知ることができるし、全く別の考え方を経験できたりもします。なんでもカタチからやってみる、というスタンスなんですけど、もうヴィーガンとしても10年越えましたね」

――より広いフィールドで、多様な価値観と交わることができるわけですね。Borisは近年、Goth-Tradさんともコラボレートされています。Back To Chillのサウンドシステムをそのまま使った演奏というのは、どんな感じだったのでしょうか。
 「本当すごかった。まじで今まで経験したことがない音場っていうのかな。まだこんなに知らない世界が残っていたんだ、っていうくらい」

――これだけ長く続けられているのに、まだまだ見えてくる世界があるというのがすごいです。
 「ありますね。まだまだ色々できるな、って本当に感じます」

――『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』のサウンドトラックに様々なバンドと一緒に参加されていますが、普段とは異なるの反応ってありますか?
 「単純にニンジャヘッズの方々から。幅広さで言えば『告白』(中島哲也監督, 2010)のサントラのほうがあったかな。AKB48から、やくしまるえつこ、RADIOHEADまで色々入っていたし」

――RADIOHEADといえば、Thom Yorkeが伊「Repubblica」紙でBorisについて言及するということがありましたよね。影響ありました?
 「ないです(笑)。なんだか周りの人は喜んでくれていたから、それはよかったな、って思いましたけど。以前ライヴに誘っていただいて、Colin(Greenwood)とは色々話しました」

――世界的な評価と、日本での見られ方の違いに疑問を持つことはありませんか?
 「思想を押し付けたり、今の音楽シーンやら業界と闘うとか、そういう無駄なことも本当にしたくないので。とにかく自分たちの好きなことをやって、誰かが気づいてくれればすごく幸せなことですね」

――バンドの続け方も、年を追うごとにソリッドになってきている感じがしますね。より自然な方向に純化されているというか。
 「そうですね。ボーっとしている時間はないから。楽しいことをどんどんやっていきたいです」

Boris official site | https://borisheavyrocks.com/
Merzbow official site | http://merzbow.net/
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