ENDON

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――でも、それを言ってしまったら、今そうそう新しいものなんて無いと思いますけど……。
那倉 「そんなことないですよ。FKA Twigs聴いて、やっぱり僕らは保守的なんだって思いましたもん。まあ、あれも90sリヴァイヴァルっぽい感じしますけどね。でもそういうのやりたいな。ZOMBYの『With Love』とかも軽く嫉妬しましたね。まとめるとトリップホップが好き、っていう。中学生の頃、一番尊敬する人がTRICKYでしたから(笑)」
宮部 「そうだね(笑)。でもそれにはもっと練習が必要」
那倉 「やっぱり、バンド的なエクストリーム・ミュージックとハーシュ・ノイズの合体を、今回のアルバムでやっと卒業できるっていう感じなんで。次の展開に行くにはまた、練習しないといけないですね」

――でも今回のアルバムでも、そういったビート・ミュージック的な部分は見受けられますよね。Cold Spring的な感じで。
宮部 「Cold Springのリリースもまあ、一通りは聴いているんですけど、それよりはMuteのカタログのほうが好きですね。LAIBACHとか好きなんで」

――LAIBACH最高ですね。
那倉 「最高です。LAIBACHは一番良いものの中のひとつですよ。ヴォーカリストという視点で見ても素晴らしいんですよ。LAIBACHはあまりそうではないですが、色んなレンジの声を全力じゃなくて脱力を交えて出せるっていうのは理想的ですね。Muteにはそういうのが多いんですよ。Diamanda Galasもそうだし、Nick Caveもそう。Diamanda GalasがJohn Paul Jonesと一緒にやった『The Sporting Life』は最高ですね。今年のリリースを見てもMuteは別格だったと思います」
宮部 「ギタリスト視点で言えば、Nick CaveにはBrixa(Bargeld / NICK CAVE & THE BAD SEEDS, EINSTÜRZENDE NEUBAUTEN)がいますからね。そういうのがナチュラルに入ってきているのかもしれない。インプロヴィゼーションのギターと、新しいブルーズっていう」
那倉 「そう、最終的には新しいブルーズをやりたいよね。Nick Caveなんかは、何かと何かを結合させたものの中で一番品格が高いものに位置づけてますね、僕らは」

――宮部さんはENDONのコアソングライターであるわけですけど、やっぱり音楽の世間的な動向には気を配っていらっしゃるんですか?
宮部 「いや、特別リサーチして気にしたりっていうことは全然無いですね。ほとんど教えてもらってばかりです。作曲する上では、その時の自分のムードとか、生活の中での情報のほうが大事ですね」
那倉 「でもまあ、音楽的な要素としては、この人が若い頃からハードコアをちゃんと聴いているというのは大事だと思いますよ」
宮部 「そうですね、小中学生の頃にCHAOS U.K.、EXTREME NOISE TERRORだったり、CRASSだったりを聴いて衝撃を受けたので。“GLAYとは違う”とか“華原朋美とは違う”とか、そういう意味で」
那倉 「だから実験性の由来はCRASSになるわけでしょ?」
宮部 「それもあるし、当時はテープにダビングしてもらったものを聴いていたから、その影響も大きいかもしれないです。テープだと曲の頭出しが出来ないから、例えばハウリングと曲の継ぎ目が分からないじゃないですか。ハウリングも曲なのか、別の曲なのか分からない。そういうところにノイズの体験があったのかもしれないですね」

――曲よりもSEの方が好きとか。
宮部 「そうですね。だから映画音楽とかもすごく好きです。最近好きなのは、囚人が、斧で木を切っている時の鼻歌を録音したというものですね」
那倉 「菊地成孔と大谷能生の『東京大学のアルバート・アイラー』で飯野友幸が紹介するようなやつでしょ?奴隷が働きながら皆で歌う歌みたいな」
宮部 「そうそう。そういう感じ」

――フィールドレコーディングで。
宮部 「そうです。だから木を切る音がめちゃめちゃ入っていて」
那倉 「ハンマービートだよね」
宮部 「そうだね。ハンマービートがガッコンガッコンいってる中でふんふん歌ってるんですよ。これはかっこいいな、と思って」
那倉 「本物の労働だしね。リアルNITZER EBB」
宮部 「そういう風に想像を膨らませて曲作りに反映させることは多いですね。風の音が入っていると、こういうノイズがあったらかっこいいな、とか」

――連想みたいな。
那倉 「それの音デカくしてバンドでやる、っていうことですね、分かり易く言えば。たぶん、ブラックメタルの人たちとかの原点もそうじゃないですか。風がびゅうびゅういってる音とかさ」
宮部 「森のざわめき」
那倉 「まあ、僕らは元々ブラックメタルが好きなわけでもなんでもないんですけど」

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photo ©MINORxU @BCTION / obj. by Kazumichi Maruoka 丸岡和吾

――でも『Acme. Apathy. Amok』ではDEATHSPELL OMEGAのMikko Aspaさんがコメントを寄せていらっしゃいますよね。
那倉 「それは、DEATHSPELL OMEGAを前面にした方が分かり易いと思ったからです。僕らとしては、PAINJERK・五味(浩平)さんの紹介で“GRUNTのMikko”として書いてもらった感じなんですよ」
宮部 「そうだね、GRUNTのMikko(笑)」
那倉 「でもまあ、元々、バンド的エクストリーム・ミュージックとノイズを合わせたものが好きなんですよね。そういうものは80年代から伝統的にあるじゃないですか。そこに対する敬愛はやっぱりあります。小澤さん(GIBBED / Meatbox Records, Konspiracy Records)がやってきた仕事とかね。それが無ければ元々の欲望は喚起されなかったと思う」

――そういったスタイルの00年代を象徴するものとしてSTRUGGLE FOR PRIDEという存在がありますよね。彼らから何か感じることはありましたか?
宮部 「音楽的なところではそうですね、初めて聴いたのはSCREWITHINとのスプリットだったんですけど、すごくかっこいいと思っていました。でも、それ以前に僕はMAN IS THE BASTARDが好きだったので、そこからBASTARD NOISEに変わっていく瞬間の方が直接的には出来事として大きかったです。僕が子供だったからということもありますけど。SFPに関しては“大人の音楽”という受け止め方でしたね」
那倉 「そうだね。“象徴”として年表的に見ている感じでした。SFPに限らず、知り合いじゃない場合は何でも批評視点で見てしまうんですよね。愛情を持ち過ぎるとポーザーになってしまうし、音楽ファシズムに陥る危険性があるから。バンドをやろうと決めた中学生の時から、何かひとつにのめり込むことはしていないです。このバンドを続けるためにも」

――バンド持続への並々ならぬ情熱が感じられますが、そのモチベーション、バンドに駆り立てるものとは一体何なのでしょうか。
宮部 「憧れ、ですね。自分がなれないものへの。それこそLED ZEPPELINになんて、絶対になれないじゃないですか。でも憧れはするっていう」
那倉 「そうだね、そこに原動力があるかもね。“ロックバンド”への愛着。“音楽”がやりたいわけじゃなくて、“バンド”がやりたいんですよね」

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