goat / 日野浩志郎

goat

――でも、現在関西で、日野さんみたいに先を見据えて活動されてる方ってほかにいらっしゃるのでしょうか。
 「わからないですけど……そうですね、ぱっとは浮かばないですね。大阪の良さっていうのは、良い意味で後先考えない瞬発力だと思うんですよ。あふりらんぽにせよ、巨人ゆえにデカイにせよ、オシリペンペンズにせよ、そういう良さがあるから。だから、僕がたぶん大阪っぽくないんですよ。考え方的に。ある意味、悪く言えば打算的というか。そういう大阪っぽい人たちと自分を比べて、自分てどうなんだろう……って悩んだ時もありました(笑)。今でもそれは思うし。あと関西の同世代から下で、共感出来る人は本当に少ない。ある意味ラッキーではあるんですけど。この前、大友(良英)さんの“Asian Meeting Festival”に呼ばれて、“来年もまた是非”と言われてすごく嬉しかったし、正直すごく出たいけど、こういうのはもしかしたら違う人に譲ったほうが良いのかもしれないな、っていう気持ちもあって。もっと面白い人もいるよ、みたいな。そうすると先輩たちになっちゃいますけど。年下のおもしろい人ってなかなかいないから」

――関西から外に目を向けるといかがですか?
 「そうですね……北海道はおもしろいかな。北海道と九州。でも本当にピンポイントですけどね。たぶんその人たちも孤立してると思うし。だから、“ここのシーンがおもしろい”っていうのはあまりないかな。僕としては」

――カセットテープ・レーベルで言えば、東京のSLUDGE-TAPESをはじめ、コンスタントにリリースを続けているレーベルが国内にいくつかありますよね。そういう人たちにシンパシーを覚えるようなところはありませんか?
 「うーん……シンパシーは正直あまり感じないです。日本では“出しまくる”っていうやり方の人はあまりいないと思うし。海外ではそういう人ばかりだと思うんですけど。でも今の自分の趣味的に、SLUDGE-TAPESは好きです。少し道は違えども、miclodietはやっぱり常に気にはなってるし、良い影響を受けてますね」

――SLUDGE-TAPESはヴィジュアル面でも近い雰囲気があるかもしれないですね。
 「そうですよね、うんうん」

――インターネット感というか。
 「僕のデザイン、インターネット感あるのかな(笑)。最近ちょっと、違う感じに変えていきたいな、と思ってるんですけどね。最新作のJerry Paperは違う感じを出してる!って僕は思ってるけど(笑)」

――デザイン、どれもかっこいいですよ。ファニーな感覚もあって。
 「ありがとうございます……。そういう感覚は、もしかしたらインターネット的かもしれないです。ちょっとパロってる感じというか。ウケ狙いですけどね(笑)。インターネット的というよりは関西的かもしれない。僕島根生まれなんで、関西じゃないんですけどね(笑)」

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photo ©Yusuke Nishimitsu | 西光祐輔

――birdFriendはOPQさんみたいな方もリリースされていますよね。そういうベテランの方をTrilogy Tapesっぽく出したらどうなるかな?という実験のような感覚もあるように思えたのですが。
 「そういうのも有りだと思っていますし、実際少し考えてもいます。レーベルとしての方向性もあるので、慎重になっていますが。でもあくまで、ミュージシャンが作るものをレーベルのカラーに合わせることは絶対しないです。本当は全部僕がデザインしたいって思ってるし、マスタリングは(西川)文章さんにお願いしたいと思ってるけど、もしアーティストが違う風にしたいと言えば、そっちを全然優先させる。どうしてもここのデザインだけは……っていう部分はありますけど(笑)。縦に置いた時のバックは白にしたいとか、ロゴはここには入れたい、とか。そういうことを強制してそうなレーベルはありますけど、レーベルカラーを押し出し過ぎたら短命に終わるんじゃないかな、と僕は思ってるので」

――そこでも。先のことを考えていらっしゃるんですね。
 「いやいや(笑)、僕は人のことばかり気にしてるだけ(笑)。僕だって、リリースする時にガチガチの“こういうアートワークが決まりだから”みたいなこと言われたら、ちょっとな~、って思っちゃうし。僕のカラーもあるから!みたいな。まあ綺麗ですけどね、統一されてたほうが。並べた時とかに」

――アートワークといえば、『Rhythm & Sound』のカヴァーアートは五木田智央さんの描き下ろしなんですよね。これはどういった経緯で実現したのでしょう。
 「話せば長くなるんですよね……(笑)。僕たちは2013年の元旦からgoatって名乗り始めたんですけど、その前の2012年に、清澄白河(タカ・イシイギャラリー)で五木田さんの展示(Variety Show)があって観に行ったんですよ。五木田さんの絵はずっと前から好きではあったんですけど、その展示で観たものが今までの五木田さんのイメージじゃなくて、すごく感銘を受けたんです。ミニマルなデザインだし、挑戦してるし。パソコンで作っているように見えて、近くで観たら手描きだし。そこからgoatが始まっている気がするんですよね。プログラミングで作ってるっぽいけど人力、みたいな。その後NYでZSのライヴを観て、ミニマル感で五木田さんとZSが繋がった感じがしたのも大きかったですね」

――そこまでgoat始動に直結した存在だったんですね。じゃあ今回のカヴァーアートは嬉しいですね。
 「本当に嬉しいですよ。いつかジャケットお願い出来たらなあ……とは思っていて、ダメ元でお願いしてみようかな、っていう考えはあったんですよ。でも千葉(DIC川村記念美術館)でやっていた展示(THE GREAT CIRCUS)を観に行った時に、圧倒され過ぎてしまって、お願いするのはやっぱりやめようかな、って(笑)。これはすごい、すご過ぎる!みたいな。1時間くらいしか時間が無かったんですけど、それでも圧倒的で。あと5時間くらい観ていたい感じだったんだけど。そこから考え直して再びダメ元で相談してみるか……ってお願いしてみたのが始まりなんです。喋ったこともなければ会ったこともなかったんですけど」

――でも全然、取って付けた感ないですよね。内容にもぴったりだし。
 「あっ!本当ですか?そうだと嬉しいんですけど。内容聴いて描いてくださったんですよ」

――それはなおさら嬉しいですね。
 「そう、だから今回本当夢のようですよ。夢が叶った!って本当に僕は思いましたもん(笑)。最後の曲を録る直前に描いていただけることが決まったんですけど、よっしゃ!がんばろう!っていう気持ちになりましたからね。僕の夢が詰まってます(笑)」

Rhythm & Sound
goat ‘Rhythm & Sound’, 2015

――こんなにばっちりなアルバムが出来上がったばかりですが、goatは今後どんな展開を考えているのでしょう。
 「海外でやりたいっていう欲望はすごく強いですね、goatは。他にも色々ありますね。どうやって期待を裏切ろうか、っていうことはずっと考えてます。本当は今回のアルバムも、前作とは全然違うものになる予定だったんですよ。“goat終わったな”って思わせたかったというか」

――(笑)。
 「次は、お客さんを全部入れ替えるくらいのつもりでいます。別に、嫌われてもいいから(笑)。“あの頃のほうが良かったよね”とか言われても何も思わないし。例えば、OGRE YOU ASSHOLEは以前と全然違うことを今やろうとしているじゃないですか。それはすごく良く理解出来るし、好きだなって思う。畑は違えど。彼らはお客さんにも優しい曲がり方だったと思うけど、僕はそういう風にはしないかもしれない」

――変わったとしても、嫌われることは無いような気がしますけど(笑)。
 「いや~、わからないですよ。先に行くには、何か捨てちゃったほうが良い場合もあると思うんですよ。山本精一さんしかり、EYEさんしかり。自分のものに執着が無いというか。それを観てきた影響は大きいと思います。Goatに関しても、“捨てる”案はもちろんある。僕の自分勝手ですけど(笑)」

――そういう姿勢もすごくナチュラルですね。
 「まあ、飾るものないですからね(笑)。飾ってたらアルバムにこういうタイトルの付け方しないと思うし」

――たしかに(笑)。僕は正直、goatはもっと、アカデミックとまでは言わないまでも、論理的な堅さを持っているかと思っていたんです。でも、なんというか、すごくハートフルだなあと思って(笑)。
 「まあ、そうですね。それがもしかしたら大阪感なのかもしれないけど(笑)」

――レーベルも含めて、おしゃれなかっこよさもあるし、無敵ですね。
 「いやいや、ヘコむこともいっぱいありますし……いや、そうでもないかもな。楽しんでやってるから。音楽をディスられても何とも思わないし、それで軌道修正しようとも思わないし。唯一思うのは……金が無いことかな!それだけ(笑)」

goat official site | http://goatjp.com/
Hino Projects | http://www.hino-projects.com/
birdFriend | https://birdfriend.bandcamp.com/
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