MASONNA

MASONNA

――MASONNAは、その“空気”を頭の中で凝縮したものを放出している感じがしますね。
 「MASONNAは、グラインドコアからのスピード、絶叫を使った、速くてうるさいやつ、レコーディング作品にはNURSE WITH WOUNDやETANT DONNESから影響受けた極端な切返し編集なんかが元にあって、そこにそういう要素を2割ずつくらい足していってるんですよ。『Freak-Out Electrolyze』の頃は電子音を入れてみたり。電子音が好きになって、アナログ・シンセサイザーに凝り出したんですね」

――SPACE MACHINEに繋がっていく感じの。
 「そう。その頃はまだ全然SPACE MACHINEはやってなかったけど。秋田さんの家に泊まりに行ったときにね、やっぱりEMSとかあって、触らせてもらってすごく良いなと思って。見た目も良いですしね。70年代のデザインだし。70年代のもの好きなんで。後は、その頃住んでた花園町の家の前に“イズミヤ”っていう、大阪では有名な大きいスーパーの本店があったんですけど(笑)、そこのレジがね、旧式で、電子音が出たんですよ。プッシュした時とか、すごいかっこいい、古臭い音が。なんかそれにピンときて。電子音のみがかっこいい!って思ったんですね(笑)。それから電子音に敏感になって。夜中に宇宙戦艦ヤマトの再放送とかしてると、電子音が入ってくるわけじゃないですか。宇宙空間の音、ヤマトの中の音とか、エレベーターの音、ワープの音とかね。それもめっちゃかっこいい!って思ってて」

――なるほど。ヤマトのお話が出てきましたが、アニメや特撮からの影響ってあったりしますか?
 「あ~、あるんですよね。やっぱりね、子供の頃は仮面ライダーが大好きで。2号ライダーに似てるってよく言われてた(笑)」

――そうそう、MASONNAって仮面ライダー感があると思っていたんです。
 「うん。2号ライダー(笑)。あとやっぱり70年代じゃないですか、ファッション的にも。変身する前とか」

――ライヴ中、そういうヒロイックな心境になったりすることはありますか?
 「それはないなあ(笑)。何にも考えてないですね。やっぱりライヴ中はロックですね。パンクっちゅうか。まあ2000年前後かな、電子音をMASONNAに加えたりしてたんですけど、その頃に劇的な問題が発生してしまうんですよね……」

――何が起きたのでしょう。
 「99年か2000年くらいに、腰を痛めてしまうんですよ」

――それは、捨て身のライヴのせいだったのでしょうか。
 「う~ん、どうなんかなあ。月に1、2本はライヴやってたんですけどね。腰が痛くて立てなくなって病院に行ったら、結構安静に、みたいな感じになったんで、一時ライヴ活動休止にしたんですけどね。その時にSPACE MACHINEを始めて。動かずにライヴができるし。今度はMASONNAと全く反対で、無機質で完全に汗をかかないライヴ。音だけに集中できるから、興味のあった電子音だけで。宇宙音ていうか」

――MASONNAをそういった方向にシフトする、という道は何故選ばれなかったのですか?
 「MASONNAはもう、核がMASONNAの音なんで、それ以上変えられなかったんですよね。違うものにはできないんですよ。部分的に混ぜるのはオッケーなんだけど。スタイルをガラリと変えることはできないし、だったら切り離してやろうっていうことで」

――ではちょうど良い時に、と言ったらアレですけど、電子音と出会っていたわけですね。
 「そうそう(笑)。とりあえずアナログ・シンセとか、機材も買ってあったしね。MASONNAに電子音を混ぜる感じっていうのは『Vestal Spacy Ritual』でもう完結してはいるんですけど、その後にたぶん腰を痛めたんですね。でも好きな電子音だけのがやりたかったんで、ちょうど良かったと言えば良かったですよ。その前にCHRISTINE 23 ONNAも始めてたし。音楽的なものを全部捨ててMASONNAやったじゃないですか。この頃は、そこからちょっと音楽的なことをやりたくなったんですよね。CHRISTINEの1枚目はまだアヴァンギャルドな感じだけど」

――それで(ANGEL’IN HEAVY SYRUPの戸田房尾さんと)お2人で。
 「うん。ちゃんと(房尾さんの)ファズ・ギターと、自分のシンセが入ってて、ちょっと音楽的な感じ。4人もメンバーいらんし、まあ2人くらいやったら良いかなと(笑)。リハビリ的な感じですかね。サイケデリックのテイストも楽曲的にMASONNAではできへん音、っていうところで。しかもだんだんグルーヴィな感じになっていって。こっちの人(房尾さん)がサントラをすごい買ってて。60年代、70年代の」

――またディープですね。
 「うん(笑)。それをちょっと聴いてたら、こんなんできへんかな、みたいになってきて。リズムトラックはサンプリングでループさせて、その上に自分らの演奏を載せて、っていうスタイルができてきたんですよね。それで2枚ほど作ったんですけど」

Shock Rock
MASONNA ‘Shock Rock’, 2002 MIDI Creative

――CHRISTINE 23 ONNAやSPACE MACHINEを始められたことが、その後の『Shock Rock』にも反映されている気がしているんですよね。
 「ああ。そうですよね、分裂したかもしれないです。だから『Shock Rock』にはもう電子音とか入ってないんですよね。マイブーム的な追加要素がなくなって、初期の飾りのない、ヴォーカルとノイズだけで突っ走る感じに戻ってるんですよ。『Shock Rock』の時はMASONNA、CHRISTINE 23 ONNA、SPACE MACHINEで3枚出したんですよね」

――15周年記念の3作ですよね。
 「そうそう。その時に、MASONNAの要素から外れた電子音がSPACE MACHINE、サイケデリックで音楽的な要素がCHRISTINE 23 ONNA、って分裂したんですね」

――全部に踏ん切りを付けた感じで。
 「うん。そうですね」

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