NUMB

NUMB, 2014

――それは93、4年頃だと思うんですけど、95、6年頃になると、もっとデスメタリックなバンドが主流になっていくじゃないですか。NUMBは、それ以前の感じをずっと保ってる感じですよね。あまりデスコア、今で言うデスコアではなくて、95スタイルのハードコアにはあまり惹かれなかったのでしょうか。
Senta 「聴きはしたよね」
Natsuo 「うん、聴きはしたけど、“やれないな”みたいな(笑)」

――それはどういった部分で?
Natsuo 「テクニック的なものもあると思うんですけど、自分たちでやる気にはならなかったんですよね」
Senta 「そうなんだよね。1曲2曲はキラリと光るかっこいい曲があるんですけど、やっぱり通して聴けるのはクラシックなバンドだったんですよね。あと、ファッションもあるかな(笑)。当時は僕も“ファッションじゃねえ!”とか言ってたけど、“誰がどんな格好をしてるか”っていう、サブカル的な側面からバンドを好きになっていったところもあったんで。“何のTシャツを着てるか”とかね。今思うと、音よりもそっちのほうが重要だったかもしれない(笑)」
Yuri 「Sentaは本当に、“あのTシャツの絵を誰が描いてる”とか、そういうの超詳しいから(笑)。そこから音楽に入っていったっていうのもかなりあると思う。今でも人が着てるTシャツ見て、めちゃめちゃ話しかけたりしてますからね」

――まだ面識のない頃、CARNIVOREのTシャツをSentaさんに褒められたことがあります(笑)。
Senta 「あっ、それ覚えてるよ!CARNIVOREってさ、TYPE O NEGATIVEのPeter Steelがやってたバンドで、BIOHAZARDのサンクス・リストに絶対出てくるんだよ。Sean Taggart(AGNOSTIC FRONT, CRUMBSUCKERS, MURPHY’S LAWなどのカヴァー・アートで知られるイラストレーター)が描いたTシャツを出してるんだけど、CARNIVOREのだけちょっと作風が違うんだよね。ちょっと!Yuriさん聞いてる??」
Yuri 「えっ、うん……聞いてる聞いてる」
Senta 「CARNIVOREのTシャツをPhilip Anselmoが着て問題になったことあったよね。危ないデザインで」
Yuri 「へえ、そんなことがあったんだ」

――本当にTシャツお好きなんですね。
Senta 「Tシャツ大事ですね。IN MY EYESのTシャツをやたら持ってたりするんですよ」

――なんでまたIN MY EYESなんですか(笑)?
Senta 「Pusheadってガイコツとかが多くて、あまり人物を描かないじゃないですか。でもIN MY EYESはちゃんとした顔を描いてたんですよね。92年くらいに、バンド主導とは違う、Pushead主導のコレクションがあったんですけど、それを集めてたらIN MY EYESにハマってしまって(笑)。人物を描いてるのはその少し前のPRONGもそうだったんですけど。TESTAMENTのTシャツでも1つそういうのを描いてるんですよね」
Yuri 「PusheadがTESTAMENTのTシャツ描いてるの?」
Senta 「描いてるの。半分女の子で、半分はガイコツみたいになってるんだけど。……って、すいません、話逸れちゃって……。CRUCIAL SECTIONの和田さんとはよくこういう話をするんだけど(笑)」

――でもNUMBはそういう、カルチャーの側面もすごく大事な気がします。
Yuri 「大事だと思いますよ。Sentaはストリート・ヲタクなんで。街にいるヲタクって感じですね」
Senta 「こう見えて、“明るいナード”と呼ばれてるんで(笑)。あとほら、NYHCってジャケットがグラフィティだったりするじゃないですか。それもハマる原因のひとつでしたね」

――CRO-MAGSとグラフィティの関係とか、歴史的にも重要なことですよね。
Senta 「CRO-MAGSもそうだし、OUTBURSTのジャケットとかさ、BREAKDOWNもそう。あのへんがやっぱり大好きなんですよ」
Natsuo 「そうだね。やっぱりクラシックなNYHCがやりたかったんですよね」
Senta 「そこから地域まで分けていったら、結局“クイーンズのバンドが好き”っていうことになって(笑)。LEEWAYとかね」
Natsuo 「目下のテーマはクイーンズ・サウンドですからね(笑)」
Senta 「クイーンズって、なぜか絶対にアラビア音階なんですよ」

――Mike Dijan(BREAKDOWN, CROWN OF THORNS, SAI NAM)節ですね。
Senta 「そうそう。あれにハマったね」
Natsuo 「スルメ的なね(笑)」
Senta 「“とにかくメジャーコードはやめよう”って話して。最初はMADBALLの勢いが好きだったんですけど、途中からやっぱりCRO-MAGSだ!って(笑)。気付いちゃったんだよね」

――NYHCって人括りにイメージで語られることが多いと思うんですけど、音楽的に潤沢だったと思うんですよ。そういうおもしろさを表現できているバンドって、今はNUMBくらいしかいないんじゃないですか?T.J.MAXXもそういう部分があったと思うんですけど。
Senta 「そうなんですよね。みんな、なんか大人になっちゃったんじゃないかな(笑)」

――『City Of Dreams』では、クラシックの良さを損なわずに、モダンなテイストも自然な感じで入っていますよね。
Senta 「COLD WORLDが出てきた2000年くらいからまた、USがおもしろい感じになってきたから。例えばそれまでは“ストレートエッジ” って言うと、EARTH CRISISみたいにヘヴィなやつか、ユースクルーかどっちかだったんですけど、いきなりMADBALLスタイルでストレートエッジとか、OUTBURST、DEMIZEみたいなやつも出てきて。SOUL SEARCHなんかそうですけど。90年代のアイデンティティを今の子たちが取り入れてるのを見て、またおもしろくなってきたんですよ。そこに乗っかってますね、完全に(笑)。僕らの場合はただそこに留まってただけだから、結局また巡ってきたっていう感じなんすけど(笑)」
Natsuo 「あはは(笑)」

――若いバンドが90sをリファレンスしているのを見て、自分たちがやってきたことに良さを再確認したようなことはありましたか?
Senta 「そうですね……90sが基礎にあるのは間違いないんですけど、リヴァイヴァル的な意識は全くないですね」
Natsuo 「うん、僕たちとしては新しいことをやろうとしてますね。やっぱり新しいバンド、TURNSTILEとかTRAPPED UNDER ICEなんか素直にかっこいいもんね。EXPIREもアメリカ行って観たライヴすごかったもんなあ」
Senta 「あと、今の子たちの音って、だいたい元ネタがあるじゃないですか。“それドヤ顔でやっちゃってんの?”みたいなところがおもしろいんですよね」

――(笑)。TWITCHING TONGUESとか。
Senta 「LIFE OF AGONYでしょ?あとトロイ系ね、SECTION 8とか。素直な感じが良いですよね。しかも、NYHCだったらNYHCの良いところだけを取り入れてるんだよね。それを今の時代のアイデンティティでやってるっていうのがまた良いじゃないですか。みんな平均年齢が20代前半なんですよね。TURNSTILEのヴォーカルなんか19歳だって言ってたよ」

――“素直な感じ”というのは、若いバンドだけでなく『City Of Dreams』からも感じます。“昔は聴いたよね”ではなくて、“今も大好きだよ!”っていうのを隠さないというか。
Senta 「それは全開に出しましたね(笑)。実はね、最初はそれぞれの曲に仮のタイトルが付いてたんですけど、それが全部バンド名だったんですよ。“PANTERA”とか」

――“PANTERA”は「1992」ですか?
Senta 「そうなんです(笑)」
Natsuo 「あと“MADBALL”とかもありましたね(笑)。“BLOOD FOR BLOOD”とか」
Senta 「“KCC”ね。完全ボストン・ハードコアだね」
Yuri 「“AGNOSTIC FRONT”もあったけど、ほとんど90sだよね(笑)。“1992”には色んなバンドの曲名がたくさん出てくるんですけど、それもほぼ90sですからね」
Senta 「好きなものを堂々と出したっていう感じですね」

――なんだか潔いですね(笑)。ヒップホップのテイストもすごく感じます。サンプリングというか。
Senta 「正にそれです」
Natsuo 「なるほどね……本当にそうかもしれないな」
Senta 「あと、1枚通してコンピレーションを聴いてる感じにしたかったっていうのもあるかな。僕コンピレーションが大好きなんですよ。特に『East Coast Assault』ね。あれずっと聴ける。あとは、例えばSUB ZEROの『Happiness Without Peace』って“Fuck MTV”みたいなパンクロックの曲があったり、“Boxed In”みたいな極悪な曲があったりするじゃない?あれの影響が心のどこかにあって。アルバムだからって別に統一感がなくても良いんじゃないかと思ったんですよね」
Yuri 「なるほどな(笑)。それはあるかもしれないですね」
Senta 「僕らはコンピレーションみたいなバンドなんですよ(笑)。あとサンプリング」

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