NUMB

NUMB, 2014

――でもそれは気持ちが伝わるという程度のもので、曲になると完全にオリジナルNUMB印の音ですよね。
Senta 「そうなんですよね……。僕ら的にはわりと堂々とパクってるつもりなんですけど(笑)。実際5人で演奏してみると全然違うんですよ」

――90sのカルチャーがもはや血肉になっているというか。
Senta 「それは本当、ありますね」
Natsuo 「やっぱり、そうなっちゃうんですよね」

――それでも全然古くなくて、むしろ新鮮に仕上がっていますよね。
Natsuo 「今回は曲の展開がすごく細かいから、そういうところが今っぽいんじゃないかなあ」
Senta 「曲が全体的に短いっていうのもあるよね。かつては3分半くらいある長い曲を作ったこともあったんですけど、結局ライヴでやらないんですよ(笑)」
Natsuo 「長過ぎるんだよね(笑)」
Senta 「うん。そういう経験を活かして。やっぱり2分半の美学ですよ」
Natsuo 「最近は2分半でも長い気がしちゃうけどね」
Senta 「そうね、2分くらいがちょうどいいね。あとはバスドラとのユニゾンかな。メタルコアの連中が使う手法ですけど、実際やってみると合うんで、素直に取り入れましたね」
Yuri 「あとは大野さんが入ってくれたのも大きいんじゃないかな」
Senta 「そうだね、客観的な耳があるっていうのは大きかったね」
Yuri 「大野さんは“もっと色々楽しめ”とか“遠慮しないでやれ”とか言ってくれたんですよね。プレイに関しても、僕もやっぱり90sの人間だし、元々ベーシストではないからユニゾンでやってたんですけど、“もうちょっと色々できるだろ”って言われて。だから、普通とはちょっと違うこと、ハードコアの人があまりやらなそうな感じのことを試したりしましたね。僕に限らずKenjiroのソロとか、ギターのアレンジも思い切ってやれるようになったんじゃないかと思います。」

――たしかに、“何でこんなところにこのフレーズが?”みたいな意外性が随所にありますよね。
Natsuo 「うんうん」
Senta 「あとは“引く”っていうことを覚えたのが大きいかな。実は今回のアルバム、2年くらい前に1度全部レコーディングしてたんですけど、それを全部録り直したんですよ。その過程で、無駄な部分を引くっていうアレンジをやっと知ったんですね。前は足してばっかりだったんですけど。“引く”とか“抜く”っていうのはたぶん、今っぽい手法なんじゃないかな」
Yuri 「そうだね。ギターを削っていったり。コーラスもたくさん入れてたんですけど、最後にけっこう削って」

――今回のアルバムはコーラスがすごく特徴的ですよね。
Senta 「コーラスは、レコーディングをやってくれたCLEAVEの山中(大平 / ATTIC studio)が客観的に聴いてくれたのに助けられましたね。コーラスって言ってしまえばサブリミナルじゃないですか。その効果の部分を考えて。ライヴをイメージして、入れ方に変化を付けるようにしたんですよね。絶対歌ってほしいところにだけ入れるとか」
Yuri 「そうだね、歌ってくれたら嬉しいよね。削る作業はけっこう、しつこいくらいにがんばって、最後までやれた感じはしますね」

――“引く”作業って、すごく勇気のいる作業ですよね。
Natsuo 「そうなんですよね。不安になっちゃうんですよ。でも引いた分、逆に大胆なことも出来るようになったりするんですよね」
Senta 「でも、TRAPPED UNDER ICEみたいに僕らより全然若い子は、それが出来てるんですよね。本当に勉強になりますよ。無駄なことはやらないで、良い部分だけを思い切り出すっていう。まあMADBALLの影響もあるんだろうけどね。MADBALLの曲ってすごくシンプルじゃないですか。なのに真似できないんですよ。それが“抜き”とか“引き”だっていうことに、ある日突然気付いたんだよね。要はヒップホップと一緒なんですよ。ベースとヴォーカルだけ、ドラムとヴォーカルだけとか、シンプルだけどパターンがすごくたくさんあって、それをDJが繋いでるような感覚っていうか」
Yuri 「そのほうが、全体の勢いが出たりするし。そういうのには今回けっこう拘ったね」
Senta 「あとドラムの叩き方を聴いて後から合わせ直したりとか。昔はそんなところまで気付かなかったんですけど。今はダウン・ピッキングしただけでも全然違うと思う。そういう、昔先輩に言われていたようなことがやっと理解できるようになってきましたね」

――そういう感覚を身に付けたのっていつ頃だったのでしょう。
Natsuo 「このアルバムを作り始めてからが大きいと思いますけど、『Death.Co』くらいから意識は多少はあったかな。それを新しい曲でやってみようっていう意図はありましたね、今回」

――NUMBのライヴを拝見している中で、急にかっこよくなった時期があったと思うんですよ。以前からのかっこよさは変わらないんですけど、突然垢抜けたというか。そういう、演奏に対する意識が関係しているのかと思ったんですけど。
Yuri 「それはいつ頃のことですか?」

――ここ4、5年のことだと思います。
Yuri 「ドラムが変わったからっていうのはあると思う。Sekiちゃんはヒップホップとハードコアの影響しか受けていないドラマーなんですよ。普通ドラムっていうと、メタルが多いじゃないですか」
Natsuo 「MADBALLを観てドラムを始めたっていう奴なんですよ。そういうドラマーは初めてでしたね」
Yuri 「“刺青がかっこいいから”とかそういう理由みたいなんですけど(笑)。メタルはSLAYERくらいしか聴かないらしいんですよね」
Natsuo 「今までは、ハードコアの良さを説明するっていうのが難しかったんですよ。メタルの人ってハードコアを簡単に思ってる場合があるんで(笑)」
Yuri 「たしかに。メタルの人ってそういうところありがち(笑)」
Natsuo 「やっぱり、上手いからね(笑)。手数の部分では。“そうじゃないんだよ!” っていうのを説明するのが難しくて」
Yuri 「Sekiちゃんはパンクとはまた違うんですよね。やっぱり、ハードコア・ドラマーなんですよ。しかも普段はギャングスタ・ヒップホップばっかり聴いてるから、ノリとがちょっと黒っぽいんですよ」

――タメの作り方が独特ですよね。それからYuriさんがベーシストとして正式に加入したというのも大きいのではないでしょうか。
Yuri 「でも僕ベースは素人なんで……」
Senta 「いやでも、僕はヴォーカリストとしての本多有理の凄さを知ってるから。まあ当時はギター・ヴォーカルだったんだけど。その凄さだけでアイデンティティが倍になったと思ってるんだよね。今回のアルバムでも、効果的なところでは本多さんに歌ってもらってね。すいません(笑)」
Yuri 「(笑)」
Senta 「あと、4、5年だとちょうど、僕がライヴの形を変えようと思っていた時期かもしれない。昔はそれこそ、やっぱり好きなバンドがそうだったから、タフガイ・スタイルに拘ってた部分があったんですけど、“別にそういうのじゃねーな”と思い始めて」

――そうですね、以前よりも取っ付き易くて、楽しい感じになった気がします。
Natsuo 「そうですね。一言一緒に歌えるだけで楽しいですからね」
Senta 「“ノリ”って色々ですからね。モッシュだけじゃないから。もちろん一緒に歌うのもノリだし、そういう色んなノリを考えるようになりましたね」

――そういうことが出来るハードコアのバンドってなかなかいないですよね。NUMBはこういう音で、子供でも楽しめるようなものを実現してると思うんですよ。
Natsuo 「子供かあ~。うんうん、すごく観にきてほしいですね」
Yuri 「そうだね、5歳くらいの子が来てくれても全然大丈夫だと思うな」
Senta 「それは、僕の知能年齢が低いからっていうのもあると思うんですけど……」
Yuri 「(笑)。でもSentaは昔から、人を恐がらせるようなことはしないよね」
Senta 「周りが恐い人ばっかりだったっていう(笑)」
Natsuo 「恐い人には憧れてたけど、恐くなりたいわけじゃないんだよね(笑)」
Senta 「そういう意味でも、SLIGHT SLAPPERSのKubotaさんをリスペクトしてます。Kubotaさんのかっこよさは本当に憧れるな。パフォーマーとしてもすごいし、世界観もしっかり持ってて。でもとりあえず、見た目恐いじゃないですか(笑)。初めて会う時とかすげー恐くて。でも実際喋ってみたら、びっくりしたよね」
Natsuo 「びっくりしたね~」
Senta 「そういうのが良いんですよ。やっぱり、音楽がやりたいんですよね。やるからには、分かり易く表現したいし。誰にでも伝わるように。まあ、わかり難い音楽も聴く分には好きなんですけど、自分でやるんだったら分かり易いほうが良いかな。その制約の中でどれだけハードな曲が作れるかっていうのはNUMBのテーマでもありますね」
Yuri 「言い方はちょっと違うかもしれないけど、バンドとしてすごくポップなんじゃないですかね」
Senta 「メンバー1人1人のキャラクターが全然違うから、それもあるのかもしれないですね。誰も1つの方向を向いてないんですよ(笑)。でもやることは一緒っていう。方向バラバラなのまま、伸びてく感じ。音楽ひとつにしたって、聴いてるものめちゃくちゃだし」

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