近藤さくら + CARRE

近藤さくら + CARRE / photo ©Ichiko Uemoto 植本一子 | 天然スタジオ

――音楽について3人で話し合うことはなかったんですか?
近藤 「なかったですね。そもそも3人で頻繁に会うとか、メールをめちゃくちゃやり取りするということが全然なくて。こんなに会わなくていいのか?みたいな(笑)」
NAG 「(笑)」
近藤 「でもわたしはそういうところに親近感とか信頼を感じて。すぐに馴れ合いの友達になるとかじゃなく、ずっと良い緊張感があるというか。作る者同士、わたしが絵を描いて、返ってくるものは音楽。それにわたしはまた絵で返すっていう。そういうのは信用できるって思ってました」

――音そのもの、絵そのもので繋がった感じですね。
NAG 「そうですね」
MTR 「でも展示の1ヶ月くらい前から、急に毎日メールするようになったよね。焦って(笑)」
近藤 「そうそう(笑)」
MTR 「それまでは本当に全然連絡を取り合わなくて、どこかでたまたま会っても“GREY SCALE”の話はしなかったり」
近藤 「全然関係ない話してたよね(笑)」
MTR 「むしろ一時期は“GREY SCALE”の話は避けようかな、と思ってたくらい。それくらい曲作りが進まない時もあったんだよ。これは本当に果たして終わるのかな?って。完成が見えない時がけっこうあったんだよね」

――それだけ丹精込めて作っていたっていうことですよね。
NAG 「そうです(笑)」
近藤 「あはは(笑)」

――近藤さんの絵を前提とするにあたって、今回何か特別なことはしましたか?
MTR 「特にしていないですね。以前と比べると機材が増えているっていうのはありますけど」
NAG 「シンセサイザーの数は増えてるよね」
MTR 「あと今回は僕がトランペットを吹いてるとか。前作でも少しやりましたけど、今回もマイク録音みたいなことをやって空気感を出したり」

"6 Hours of SAKURA KONDO × CARRE" / photo ©Chifumi Kubota 久保田千史

――それで後ろに下がった感じがするのかもしれないですね。
MTR 「それもあると思います。ラインで録ったほうが良い曲も当然あるので、そういう時はやらないですけどね。でも今回は、機材からハードディスクまでずっと機械の中を通って、音が1度も外に出ない感じが考えられなかった。空気に触れさせたほうが良いんじゃないかという判断をすることが多かったんですよね」

――それは近藤さんの絵の印象からということなんでしょうか。
MTR 「それもあるかもしれないですね」
近藤 「へえ~。おもしろい」

――近藤さんの絵って、風景っぽいイメージにも見えたりすることがありますよね。そういう感じ?
NAG 「僕はけっこうそうですね」
MTR 「僕はわりと物質的なイメージがあるんですよね。今回、この曲は“アリ”とか“ナシ”でしょ、っていうのがお互いにはっきりした時期があったんですけど、その違いに起因するところが多かったように思います」
近藤 「そんなことがあったんだ……」

――お2人で曲を作る際、あまり話はされないんですか?
NAG 「めっちゃ喋りますよ(笑)。お互いが納得できたらOKという感じです」
MTR 「どちらかが100%作ることもあるんですけど、そうだとしても2人がOKじゃなかったらダメ」
NAG 「最終的な判断は2人でしますね」

――『GREY SCALE』にはどちらかお1人が作った曲は収録されていますか?
NAG 「ありますあります。半々くらいですね」

――どれがNAGさんの曲でしょう?
NAG 「3、6、8は僕で、1、4、5がMTRくんの曲ですね。残りの曲は2人でやってます」

"6 Hours of SAKURA KONDO × CARRE" /  photo ©<a href="https://clinamina.in/" target="_blank" rel="noopener"><span style="color: #ffffff;">Chifumi Kubota 久保田千史</span></a>

――相手の作ってきた曲に対して“ナシ”とする基準はどんなところなのでしょうか。
MTR 「今回ボツになった曲の中に、TB-303を走らせて、僕がたまに音を入れるっていうだけの冗談みたいな曲があったんですよ。一発録りで、何分の曲か忘れましたけど、3分の曲だとしたら3分で出来た曲。僕はアルバムが全体的に真面目過ぎる感じがしたから、“遊びでやっているんですよ”くらいの感じをちょっと入れたかったんです。でも最後にどうしても嫌だっていうから」
NAG 「(笑)」
近藤 「あの曲良かったけどね」

――近藤さんも聴いてはいらっしゃったんですね。
近藤 「わたしは勝手に“ブニュブニュ”って呼んでたんですけど、最終の選曲に入ってなくて“あ、あいついなくなったんだな~”って思ってました(笑)。音としての良し悪しはどうかわからないけど、気になる曲だったな。他の曲がだいたい20歳としたら、“ブニュブニュ”は5歳くらいのイメージ(笑)」

――NAGさんは近藤さんの絵からそういったファニーな印象は受けなかったわけですね。
NAG 「さくちゃんの絵からというよりは、単純に音楽としてフザけ過ぎじゃないかな、という気が僕はしたんで」
MTR 「そう言われて、フザけ過ぎてる気が僕もしてきたから(笑)、今回はやめようということで。あれが世に出ていたら、TB-303を使った最もフザけた曲になるはずだったんですよ」
NAG 「まあ、おもしろいはおもしろいんだけどさ(笑)。やり過ぎだと思って」
近藤 「普段CARREのライヴを観に行ってる人が聴いたら、“えー!?”ってなると思う」

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