SEX VIRGIN KILLER

SEX VIRGIN KILLER / photo ©Miki Matsushima 松島 幹

――SEXがメタルに振り切らずにパンクのテイストを残しているというのは、XとGHOULの関係のようなところを意識していらっしゃるということなのでしょうか。
 「意識的にやっているっていうことは全くないですね。無意識のうちに」

――染み付いている感じで。
 「たぶんそうです。自分もそうですし、メンバーも同じように10代の頃からパンク、ハードコアを聴いていたような連中なんで。自然と出てしまっているだけだと思うんですよね。ただ最近は、より幅広い音楽性を取り入れて、もっとおもしろいことをやって世界を拡げていきたいと思っています」

――Atsuoさんをプロデューサーとして迎えたのにもそういった意図が込められているのでしょうか。
 「意図したわけではないですけど、結果的にはそうなっているんだと思います。今までSEXの作品を手に取ってくれなかった層に興味を持ってもらえるものになったので、それは良い傾向ですね」

――Atsuoさんとの関係はどんな風に始まったのですか?Borisのミュージック・ビデオにSEXが登場していたこともありましたけど。
 「Borisの“H.M.A. -Heavy Metal Addict-”という曲で、SEXのPVをそのまま使いたいという旨、レーベルを通してご連絡いただいて。 その後『0(ゼロ)』をリリースした時、Atsuoさんにコメントをいただいたんですよ。ライヴにも来ていただいたり、気に掛けてくださっているのは知っていましたし、ありがたいなあと思っていたんですけど、当時メンバーが抜けたこともあって次に決まっていたリリース自体が流れてしまったんですよね。それでまた、ここ2年くらいでリリースできる環境が整ってきたので、自分の方からBorisのライヴに伺ってお話をさせていただいたんです。すごく懐の深い方なので、おもしろがっていただけて。そこから始まりました」

――Atsuoさんは独特の感性をお持ちの方なので、レコーディングもこれまでとは違っていたのではないかと想像するのですが、いかがでしたか?
 「これまでプロデューサー不在の形で、判断は基本的に自分たちだけでしていたんですね。自分はけっこう“完璧にしたい”とか“こうじゃないと”っていう気持ちで曲を作っていたんですよ。“正解は1つだ”みたいな。でもAtsuoさんと出会って全く違うレコーディング手法や考え方、感性を知って、発見の連続でしたね」

SEX VIRGIN KILLER / photo ©<a href="https://www.mikimatsushima.com/" target="_blank" rel="noopener"><span style="color: #ffffff;">Miki Matsushima 松島 幹</span></a>
photo ©Miki Matsushima 松島 幹

――曲作りやアレンジに関してもAtsuoさんの助言があったのでしょうか。
 「そういう部分に関してはあまりなかったです」

――以前に比べると、立体的な仕上がりになっていますよね。ヴィジュアル・メタルへの愛を確実に感じる楽曲であることに変化はないんですけど、アレンジや音響面が垢抜けて、より幅広い層に開かれた印象になったと思います。
 「ありがとうございます。SEXってこういう見た目なんで、“きっとこうだろう”っていうイメージをすごく持たれ易いバンドだと思うんですよ。そういうところに対して、“実際はこんなのも持ってるよ”というのを徐々に見せていけたら良いですね。それぞれの受け手の感覚で捉えてもらえればいいんですけど、広い意味での“ロック”というか。それがアレンジにも現れているとは思います。今後は色々な引き出しを開けて、そういう部分をより出していきたいですね」

――でも見た目は変わらないっていうのが良いですよね(笑)。
 「見た目を変えるのが一番早いんですけどね(笑)。このヴィジュアルとバンド名が諸刃の剣だということは認識してるんで。そこを良い意味で裏切れるような楽曲を作っていきたいな、とは思ってます」

――アートワークもかっこいいですよね。ファッション面で洗練されたところもあるんでしょうか。
 「アートワークは本当に素敵ですよね。このヴィジュアルでこういったアートワーク、というものは今までに見たことがなかったので、そういった意味では洗練されましたね」

SEX VIRGIN KILLER 'crimson red ep ♂', 2013
SEX VIRGIN KILLER ‘crimson red ep ♂’, 2013

――ファッションの部分ではどんなところに拘りを持っているのでしょう。このスタイルで、かっこよく見えるのってすごく難しいと思うんですよ。
 「まずは、赤です。ただ、ファッションも独自の方向に行きたいとは思ってます。革パン穿いて、弾丸ベルト着けて、っていうスタイルをずっと続けてたんですけど、最近は少しずつ変わってきてますね。自分は普段スカートを穿いたりするんですけど、最近はライヴでも穿いてますね。今は脳内の絵とのギャップを埋めていってる感じです」

――今回はヴォーカルの輪郭がクリアになった感じも印象的でした。
 「制作する中で、これまではがむしゃらに歌ってたようなところを、力を抜いてやったりしてみたんですよね。聴こえ方は今までと全然違うと思います。歌い方の部分でも、今までなかった形をどんどん提示していきたいですね」

――masaさんは、ヴォーカリストとして影響を受けた人とかいらっしゃるんですか?ハードコアパンク時代は今みたいな歌い方じゃなかったわけですよね。
 「そうですね。ハードコアの時は基本シャウトでしたね。それ以前の、ヴィジュアル系とか黒夢が好きだった12、3歳の頃は清春さんの歌マネとかをしていたわけですよ」

――まあ、小中学生はやりますよね(笑)。
 「そうなんですよね(笑)。それが結成当初は出ていたんたと思うんですね。だから一度、その癖を抜いてフラットにする作業をしたんです。今はそこから、自分なりの色を付けていってますね。今回で言えば“The Birth of Stars”では一つの色がよく現れていると思います」