テンテンコ

テンテンコ

――『工業製品』には「Good bye, Good girl.」も収録されていますけど、最初に出た時とマスタリングが全然違いますよね。今回の7inchはどちらのヴァージョンで収録されているんですか?
 「『工業製品』のほうです」

――約3年前に始まった曲が、こうして立派なヴァイナルになるっていうのも感慨深いですよね。
 「カッティングにも立ち会ったので、余計にそう思いますね。出来上がる瞬間を見て、“物”に対しての気持ちが変わりました。東洋化成に行って初めて知ったんですけど、もっと機械っぽくやっているのかと思ったら、“人”がやってたんですよ」

――皆さん手でやってる感じですよね。
 「そう。1枚1枚めっちゃ人がやってるんだ!って思って」

――最近ヴァイナルを買う人がまた増えているとはいえ、基本みんなデータで聴くわけじゃないですか。テンコさんはどうですか?
 「わたしもそうですね、データで聴くことが多いです。でも最近少し変わってきました。わたしはめちゃめちゃCDの世代で、だんだんデータが出てきて、っていう感じだったんですけど、高校生の時とにお小遣いで買ったCDって、今でもすごく大切なんですよ。でも20歳以降にデータで買ったものって、けっこう無くなっちゃったりするんですよね。PCが壊れたとか、移行がうまくいかなかったとか。それも、あれ?なんか無くね?みたいな軽い感じなんですよ。それヤバくない?って思うようになって」

――昔は宝物だったのに。
 「そうそう。データで手に入れたものって、けっこうそういう感じ。CDで持っていると、ジャケの感じだったり、中の写真、デザインだったり、良いな、って思えるけど、データはそれ無いじゃないですか。ヴァイナルはCDが巨大になった感じで良いですよね。あのデカさって良いじゃないですか」

――音の面も良さがありますよね。一時期よりヴァイナルでプレイするDJもまた増えたし。
 「最近ヴァイナルでDJしてる人を観ることが多かったんですけど、やっぱりかっこいいな、って思いました。たまたまそういう人の家の写真を見る機会があったんですけど、けっこう衝撃的で。みんな家がヤバいんですよ。レコードの隙間に道があるみたいな。でも、わたしがDJやるためにCDとかデータを集めるのを全部ヴァイナルでやってたら、エラいことになるな……って納得して。1年でもたぶんすごいことになるんですよ。それを想像してゾッとしたんですけど、わたしもこれからヴァイナル集めようと思って(笑)」

テンテンコ

――テンコさんは機材もどちらかといえばアナログ志向ですよね。
 「そうですね」

――実際に触れて動かすものが好きなんでしょうか。
 「単純に、触れるほうが分かり易くて。理解はできないけど、ちょっと分かる、みたいな。PCはひとつソフトを持ってるんですけど、全然意味がわからなくてダメなんですよ。わけがわからないなあ……と思って」

――ハードウェアでの演奏も復権してますもんね。
 「うん、気持ち分かります。やっぱライヴ感ですかね。わたしもライヴしてる感が欲しくて」

――ラップトップひとつで、っていうのがイケてた時代を経て、っていう感じもありますね。
 「色々時代は巡るって言うから、そうなのかな、とも思いますけど。でもまあ、機材が増えるのは大変なことなんですよ。荷物がどんどん増えるから。増えるのも楽しいんですけど、飛行機乗る時とか、本当ヤダ~!ってなる時はある。でも困難があるほうが……」

――燃える(笑)?
 「そうそう(笑)。わたしMっ気は全然ないんですけど。あと、PCだけでやっている人からしたら、ちょっとバカっぽいじゃないですか。ひとつの音を出すためだけに機材持ってくとか。それがけっこうおもしろくて。愉快だな、って思う(笑)」

――それはさっきおっしゃっていた、わくわく感に通じるかもしれないですね。
 「うん、観る側としても、やっぱりヘンな拘りがある人が好きなので」

――テンコさんの周り、そういう人ばっかりですよね(笑)。
 「そうですね(笑)。それがおもしろい」

――一番近いところで言えば、フロリダの相方、滝沢朋恵さんのアルバムは聴かれました?
 「聴きました。やってるな!って思いましたね。同年代でやってる人ってけっこういないから」

――そうですか?
 「いるにはいるんですけど、話が通じる、喋れる人がそんなにいなくて。同年代がいたとしても、バカっぽくない人が多いんですよ。ちゃんとしてるわ……みたいな」

――テンコさんだってちゃんとしてますよ(笑)。
 「(笑)。う~ん、何て言うんですかね……綺麗にまとまってるというか……。何が良いとか悪いとか分からないけど、別にわたしは、おしゃれじゃなくていいと思ってるし……」

テンテンコ

――テンコさんおしゃれです。
 「うん、おしゃれ好きなんですけど……(笑)。“自分が好きだから着てる”っていうのが好きだから、同じに見える時があるんですよ。けっこう。よく観る上の世代の人たちは、みんなおしゃれだし、おしゃれじゃなかったとしてもその人の拘りがあったりするんですけど、同世代は同じものを着ているように見える時がたまにありまして……なんかちょっと言い辛いな(笑)」

――あはは(笑)。でも、うん、わかりますよ。
 「それがちょっと苦手なんですよね。だから、たぶん会話に入れない気がする……と思って。みんなが“これ良い!”って言っているものが、全然良いって思えなかったり、やっぱりするんですよ。今これ流行ってるけど、めっちゃ良くないじゃん……みたいな。結局、綺麗にまとまってるのが売れるのかよ!とか。最近スカート(澤部 渡)めっちゃ良い!って思ったんですけど、それは生っぽい感じがしたからなんですよね。剥き出しっていうか。たとえ音楽をいっぱい知っていて、人間自体はおもしろくても、おしゃれにやってる感じ?だとちょっと苦手。聴いてる人にどれだけダメージを与えてるか、っていうことかもしれないですね」

――ダメージ。
 「ダメージ(笑)?お前剥き出しだな!みたいなのが好きだったりするから。うまくまとまって綺麗なのを観て、みんながそれをイイネイイネって言ってる感じを見た時に、本当??ってなる(笑)。でも音楽って、そういうところで楽しいものなのかもしれないな……って思ったりもするから……」

――たしかに、そういう側面が無いとは言い切れないですよね。
 「うん。だから、単にわたしがそうじゃないだけなのかな。日々葛藤というか。う~ん……て思うことは最近、増えました。前はそんなに思わなかったですけど」

――それは、自分がやっていることに対して肯定的になったというか、自信が芽生えたっていうことでもあるんじゃないですか?「Wa・ショイ!」って、ある種目覚めの歌じゃないですか。だから今回、テンコさんの原点である「Good bye, Good girl.」とのカップリングは象徴的というか、良い内容だな、って思ってるんですよ。
 「どうなんですかね……。どんどん面倒臭い人間になっているんだと思う(笑)。でもまあ、面倒臭い人間が好きなんですよね(笑)」

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