ZOMBIE-CHANG / Meirin

ZOMBIE-CHANG / photo ©Chifumi Kubota 久保田千史

――これまでのPVは全部、何と言うか……ヘンな感じですよね。
 「……そうですね。でも想像通りにできてます。シュールな感じが好きなんですよ。曲はアホみたいなテンションだから、そのまま元気にやってもなあ……って思って。真顔のイメージ。アホなことを真顔で真剣にやるからこそのヘンな空気感というか。映画とかでも、そういうのが好きなんですよね。世界観ですね(笑)」

――ギャップを作りたいということ?
 「そうです。曲に関しても、例えば“KOURAKUEN”は歌謡曲っていうか、昔の流行歌みたいな曲じゃないですか。でも電子音で作る。そうやって間逆のものを合体させるのが好きで。それはすべてに一貫しているかもしれないです」

――派手なカラーのヴィジュアルで真顔、っていうギャップもありますよね。でも「KOURAKUEN」からはビビッドな印象を全く受けなかったです。モノクロの感じ。
 「えっ!何でそう思うんですか?」

――何でだろう。そういう風にしか聴こえないんです。
 「そうなんですよ!“KOURAKUEN”は白黒のイメージで作っていて。白黒の絵で、妻も子供もいる中年のサラリーマンが、独り昔の不倫相手に手紙を書いているんですよ」

――ん?なんすか?サラリーマン?ふりん……
 「そうです。その不倫相手が本気だったかどうかわからないし、書いた手紙も出すかどうかはわからないんですけど」

――(笑)。“待ち合わせは品川駅、東京駅で乗り換えるの”とか、けっこう生々しい描写があるから、実体験を基にしているのかと思ってました。
 「完全に妄想です(笑)」

――おもしろいですね……。でもすごくムーディで良い曲ですよね。「KOURAKUEN」もそうですし、『GANG!』は全体的に、歌謡曲の気分がキーワードになっているように思います。
 「そうかもしれないですね。“Goodbye My Love And Turn Around”を作った時に、歌謡曲とか昔のアイドルの曲と電子音を融合させたらおもしろいんじゃないかな?と思ってから、ドハマりして。それが今回の作品には影響しているかもしれないです」

――昔の曲を調べて研究したりするんですか?
 「う~ん、それなりに……(笑)。でもやっぱり、お母さんが聴いていた音楽の影響が強いです」

――「かわいいベイビー」も、すごく昭和の感じ。Connie Francisのこの曲は本当にたくさんの人が歌ってきたわけですが、メイリンさん的にこの人!という具体的なイメージはあるのでしょうか。
 「中尾ミエさんです!むしろ中尾ミエさんからしか知らないです。英語ヴァージョンもあるんだ……って最初は思ったいたくらいで」

――そういうこともあってか、メイリンさんの音楽はノスタルジックなムードも一貫していると感じます。
 「嬉しい~!わたしノスタルジーな気分がすごく好きで。夕方の河川敷とか、小学校の時の帰り道とか、そういう……あれ何なんですかね?? 帰り道にお惣菜屋さんに寄って、じゃがいもだけ食べて帰る……みたいな。そういう気持ちを大事にしているのかもしれないです。でも意識的にそうしているわけではないですね」

――うん、“思い出だけに生きてる”みたいな感じは全然ないです(笑)。
 「そうそう(笑)。でもノスタルジックな感情は大好きなので、そこは曲に出てるのかな、って思います」

――今回のアルバムでは、中国風の音階を多用していますよね。あれもメイリンさん的なノスタルジーなのかな?と思ったのですが。
 「ああ~。自然に出てきちゃうんですよね。わたし、おじいちゃんが中国人なんですけど、そのことは全く関係なく、なぜか中国のものにすごく惹かれるんですよ。例えば、欧米の可愛らしいお子さんの部屋とかに、急に中国のステッカーとか貼ってあると、なんかグッときちゃうんですよ……。その感じで好きですね」

――そうなんですか。ノスタルジックなイメージと、はっきりとした歌唱も相まって、もはや欧陽菲菲みたいに思えたりもします(笑)。
 「欧陽菲菲さん大好き~!すごいパンチ強いし、歌詞もヤバいじゃないですか。すごいと思う。欧陽菲菲さんとか、山本リンダさんみたいになりたいですね」

――やっぱりデカい声で歌う人が好きなんですね(笑)。
 「あはは(笑)。わたしがメインストリームになれるんだとしたら、ああいう感じがいい。だから、Taylor Swiftさんもすごくかっこいいと思うんですよ」

――かっこいいですよね。でも、メイリンさんからも近いかっこよさを感じますよ。
 「ちょ、恥ずかしー(笑)!」

――でも、1stの頃は所謂ヒップホップ周辺での活動が多かったですよね。その中にあって“山本リンダになる”というのは、なかなか勇気が必要ですよね?
 「そうですか?でもたしかに、以前のレーベルはヒップホップをやっている人しかいなかったので、ヒップホップに寄ろうかな?とも思ったんですよ(笑)」

――そうですよね、ラッピンなヴォーカルの曲もありますもんね。かっこいいです。
 「ありがとうございます(笑)。そういう風に褒められると、やっぱり褒められたいんで(笑)、ラップやっちゃおうかな!みたいな気になっちゃって。でも中途半端にそんなことしちゃダメだ!ってすごく思ったんですよ。わたしが本当にやりたいことはそれじゃないし、ラップやってる人に申し訳ないじゃないですか」

――我が道を行く感じですね。
 「けっこうブレ易いんですけどね(笑)。でも結局戻ってくるし、そのブレが良いことでもあると思うんですよ。色んな挑戦ができるから」

――たしかに。そうですね。
 「だから、なるべくブレないように、でもブレたり(笑)、したいです」

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