イ・ラン 이랑

이랑

――漫画の鳥の絵、すごくかわいいですよね。
 「鳥が好きです。何で鳥が好きかは4コマ漫画に描いたけど読んだ?アヒルは水面ではめっちゃ余裕だけど、水の下ではめっちゃがんばってるじゃん。それが好きで(笑)。それ、わたし。中ではめっちゃがんばって色々考えてるけど、外は何ででわたしこんなに天才?みたいな(笑)。そんな感じ」

――その感じ、先程の韓国の話にも置き換えられそうですよね。外から見るとめっちゃ元気だけど、水面下は地獄っていう。
 「ヘル朝鮮。“ヘル朝鮮のシンガー・ソングライター”ってちゃんと書いておいてくださいよ。わたし今、女性の漫画家と2人で『ヘル朝鮮ガイドブック』っていう本を書いてる最中だよ。色んなところを旅行して、そこがなぜヘルかを説明する本。わたしとのその子のキャラがいるんだけど、2人とも韓国でがんばって生きても大変だから自殺して、地獄で出会うよ。神様に“何でそんなに美しい国で自殺してきたの?”って言われて、“いえいえ、全然ヘルでして、わたしたちが証明します!”ってまたヘル朝鮮に戻って、証明するために行ったり来たりする漫画だよ」

――ヤバそうですね。
 「ヤバい。最近はそのために1ヶ月に1回旅行しに行ってる。行って、見て、ああー、ここがヘルだって調べる。韓国は外国人だけ入れるカジノがたくさんあるんだけど、江原ランドっていうカジノだけは韓国人も入ることができる。そこでみんなめちゃくちゃになるよ。江原ランドの周りは自殺した人が残した車ばっかり。めちゃめちゃ自殺が多いよ。行ってみたら、映画で知ってるような綺麗なカジノの風景じゃなくて、みんなボロボロの服で、臭くて、おじさんおばさんばっかり。みんな無表情でお金めっちゃ出して、なくして、自殺する」

이랑

――それはヘルだ……。
 「うん。めちゃくちゃヘル。江原ランドの名前は、江原道っていう地域だから付いてるんだけど、道民は1ヶ月に1回しか行けないの。江原道民が行けたら、江原道全部が崩壊するから。だけど江原道民は住所とかをウソついて行くから、江原道民ばっかりいる。けっこうソウルから遠いから、結局江原道民ばっかりカジノ行って、江原道は終わった。『千と千尋の神隠し』に出てくる都市みたいな。お店も全部閉まってて、暗くて、誰もいなくて。カジノの中に入ると、その日は4,000人以上いたよ。夜中に。外は真っ暗で何もないんだけど。みんな無表情で、静かで、マシンの音だけ。めっちゃヘルです。そんなところに行って、ヘル朝鮮の説明するよ。ヘル朝鮮ツアー」

――そうなんですね……。隣の国なのに、知らないことたくさんあるなあ、って思います。
 「たぶん日本もそうでしょう?」

――うん、ヘル日本たくさんありますね。
 「わたしたぶん、日本で生まれたらヘル日本の本作ると思う。超楽しい~!はちょっとウソじゃないかな?と思って。本当のヘルのことを、ちゃんと話して、それから楽しい気持ちになれるんじゃないのかな。元々みんな人生辛いし、大変だから」

――マイナスからだから、伸び代はたくさんあるということでもありますよね。
 「そうそう。ちゃんと話したら、めっちゃウケるじゃん。結局カジノでも、わたしめっちゃ楽しんでた。めっちゃイイおじさんと出会ったり。めっちゃ臭いんだけど、わたしみたいなカジノ処女のこと守ってくれるし、めっちゃ優しかったよ。でもカジノ依存。だから結論としては、システムがヘルなんだって思ったり。人は悪魔じゃない。人はみんな可哀相で、結局は国とか、政治とか、教育とか、システムがヘルで、人が死にそうになる。ヘルなところに行っても、みんな優しい」

――そこは哀しいと言えば哀しいし、希望と言えば希望ですよね。
 「そうだよ。そういう話は、友達にしか言えないじゃん?でも作品とか作ったら、もっとたくさんの人に見せることができるから。みんなが読んで、聴いて、泣いたかどうか聞いたら、楽しい。安心する。“サインしてくださ~い”って言われたら、“自殺しないで”って書くよ」

이랑 bandcamp | https://langlee.bandcamp.com/
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