わすれろ草

わすれろ草, 2012

相容れない部分が共存する破壊力

 兵庫・姫路を拠点に活動するゑでゐ鼓雨磨&柔流まぁこんのデュオ・ゑでぃまぁこんと、愛知・名古屋から元OUT OF TOUCH / MANIAC HIGH SENCE、現TEASIの松井一平、竹村延和主宰ChildiscやJim O’Rourke主宰Moikai、米シカゴ名門Thrill Jockeyからのリリースで知られるアキツユコが姫路~名古屋間で遠距離結成したバンド・わすれろ草が、ライヴCD-R作品『Baby Works』(2010)に続いて初のフル・アルバム『みみくりげ』をSweet Dreams Pressよりリリース。フリーキーで不定形な要素を持ちながらも、普遍的なポップスとして完成された楽曲群は、ファンタジックにリアルが立ち上がる不思議な作品に仕上がっています。バンドの成り立ちについて、現在は拠点を名古屋から東京近郊に移して活動中のアキツユコ&松井一平コンビにお話を伺いました。

取材・文 | 久保田千史 | 2012年2月

――結成の経緯を教えてください!
松井 「もともと、ゑでぃまぁこんのライヴでプレゼントとして配る特典用に、4人で『きらきらしずむ』(“ゑでぃまぁこん&トンジャイ”名義)っていう音源を1枚作ったんですね。その時にお互い、気持ちが通じ合った感じがあって。一緒に音楽やるのいいね、って話をしてたんですけど、そこから特に進展はなかったんです。でもその半年くらい後だったかな、姫路でライブをやることになったんだよね。ゑでぃまぁこん企画で、みみのことが姫路に来た時。Easeで」
アキ 「あ~思い出した」
松井 「そうそう。一緒に音源作ったし、これを機にバンドとして出てみない?っていうことで正式に結成して。一晩で10曲作ったんだよね」
アキ 「一晩はないよ(笑)。1週間でしょ~」
松井 「そっか。気持ち的には一晩くらいだったんだけど(笑)」
アキ 「ライヴをやることが先に決まっちゃったから、無理矢理と言えば無理矢理だけど(笑)、それに合わせて何が何でも曲を作らなきゃいけなくなってしまって。気付いたら1週間前になってて……」
松井 「何にもやってなかったんだよね」
アキ 「そこから本格的に曲を作ったり、覚えたりで」
松井 「ライヴの前の晩に初めて合わせたんですよ(笑)」
アキ 「姫路でライヴだったから、前の日に行ってゑでぃまぁこんの家に泊まって」
松井 「で、そのままライヴ。その慌しい感じが今だに続いてる感じ(笑)」

わすれろ草 'みみくりげ', 2013 <a href="http://www.sweetdreamspress.com/" target="_blank" rel="noopener"><span style="color: #ffffff;">Sweet Dreams Press</span></a>
‘みみくりげ’, 2013 Sweet Dreams Press

――その慌しさは、やっぱり距離的に?
松井 「そこはあまり問題じゃないですね。行く時は行くもんね」
アキ 「そうだね」

――フットワーク軽くて良いですね。
松井 「うん、全然重くはないですね」

――曲を作っている時はどんな風にやりとりされていたんですか?
アキ 「どっちかが思いついたら歌詞を送って、それにメロディを付けたりとか、その逆とか。ゑでぃさんは割と歌詞から始まる感じ。3人はメロディかな」
松井 「詞からっていうのも結構あったけどね。自分たちでもどうやって作ったのか思い出せないくらいに、部分的に作っていて」
アキ 「出だしのところだけを一平くんが作ったりとか。いろいろ」
松井 「自分で作った曲をみんなでやる、っていう感じではなかったですね。お互いが投げ合って、独りの意志で作ってないから無意識な感じが生まれて、自分たちでもハテナマークな感じ。把握しきれていないというか。それがおもしろくて」
アキ 「まぁこんさん、ゑでぃさんが作った曲をわたしとか一平くんが歌ったりするだけでもまた違う感じ」
松井 「そうだね。ゑでぃさんたちならゑでぃまぁこんぽい感じ、僕だったらTEASIっぽい感じとか、それぞれのバンドで普段あまりやらないことも結構オッケーな感じだし」

わすれろ草 drawing ©<a href="https://ippeimatsui.com/" target="_blank" rel="noopener"><span style="color: #ffffff;">Ippei Matsui 松井一平</span></a>
drawing ©Ippei Matsui 松井一平

――歌詞も、歌を担当する人が書いているというわけではないんですか?
アキ 「歌詞を書いたのと違う人が歌ってることのほうが多いと思う」
松井 「自分で書いていない歌詞だと、また違う気持ちになるから、TEASIではやらない歌い回しもあったり」
アキ 「ゑでぃさんが書いたメロディをゑでぃさんが歌うとゑでぃまぁこんぽくなっちゃうとか、そういうのをあえて避けてたっていうのは最初のうちはあったかもしれない。今はお互い自然になったけど」
松井 「最近は意識しなくても、なんとなくわすれろ草っぽい感じがあるかもしれない」
アキ 「最初はゑでぃさんが歌ってた曲でも、わたしや一平くんが歌ってみておもしろかったら変えたり、この部分はこの人が歌ったほうが良いね、って指名したり」
松井 「最初はまぁこん氏も歌ってたんだけど、だんだん声が小さくなってきてフェードアウト(笑)。次のアルバムでは歌ってもらいたいよね(笑)」
アキ 「うん。まぁこん氏の良い歌あるんだよね」

1 2 3