Interview | TITLE FIGHT


人生に起きる出来事は予測できない

 COLD WORLDの登場以降、それまで以上に良質なバンドが続々と輩出し、ローカルの枠に留まらずワールドワイドに影響を及ぼすまでとなった米ペンシルヴェニア・エリアのハードコア。その中にあって、80~90sのメロディック・パンク / ハードコアやオリジナル・エモを彷彿とさせる哀愁メロディと、現行ならではのフレッシュな感性が絶妙にブレンドされたサウンドが魅力的なTITLE FIGHTは一際輝く存在です。COLD WORLDメンバーの実弟が在籍するということもあってスタイルを越境して支持を集める同バンドが、Run For Cover Recordsからの『The Last Thing You Forget』(2009)に続き、満を持しての1stフル・アルバム『Shed』をSide One Dummy recordsからリリース。ピュアなメロディック・パンク / ハードコアでありながら、全ギターロック・ファンの心に響くであろう懐の深い作品となっています。作品やバンドについて、ベース・ヴォーカルのNed Russinさんが答えてくれました。

取材・文 | 久保田千史 | 2011年5月
翻訳 | 山口洋佑


――TITLE FIGHTはどのように、どんなバンドを目指して結成されたのでしょうか。

 「TITLE FIGHTの結成は2003年。俺たちが12、13歳の頃だよ。それまでも、ずっと自分たちの好きな音楽をやろうとはしていたから、規定時間が過ぎたって感じかな。俺的には。始めたばかりの頃はすごくベーシックなバンドだったんだけど、時が経つにつれてバンドに対するアイディアが拡がっていったんだ」

――『Shed』では、以前よりもアレンジメントの深みが増していますね。所謂インディロックのテイストがこれまでよりも多く含まれていると思うのですが、パンクやハードコア以外にはどんな音楽から影響を受けているのでしょうか。
 「耳にしたものすべてに影響を受けてる。それが深く知らない音楽でもね。アコースティックなフォークからハードコアまで、俺たちみんな幅広くなんでも聴いてるよ」

――歌詞の内容は何からインスピレーションを得ているんですか?
 「歌詞は実体験を基にしているんだ。音楽のスタイルに関しては好きな他の書き手から影響を受けることもあるけど、歌詞を書くときはいつも自分の何かを表現しようと心がけているよ。俺たち自身を率直に表すのがアルバムの目標だったし、そもそも俺たちには正直な歌詞を歌うことしかできなかったんだ」

――ヴォーカル・スタイルがHOT WATER MUSICを彷彿とさせる瞬間がありますけど、やっぱりお好きなんでしょうか。
 「うん、俺たち全員HOT WATER MUSIC大好き。“Krazy Fest”で実際に観ることができたんだけど、みんなで超興奮したよ」

――TITLE FIGHTの音楽は“クラシック”って言われることがあると思うんですけど、ご自身では“クラシック”なスタイルだという意識はありますか?
 「俺たちが好きな音楽は大まかに言えば古い音楽だし、それをある程度意識してはいるけど、俺は “クラシック”な音楽だと思いたくないな。そう考える人はもちろんいるだろうけどね」

――アルバムはWalter Schreifelsさんによるプロデュースですね。SchreifelsさんはGORILLA BISCUITS、QUICKSAND、RIVAL SCHOOLSなどを率いた伝説的な人物ですが、歴代バンドではどれがお気に入り?TITLE FIGHTのみなさんは、世代的にはRIVAL SCHOOLSだと思うんですけど。
 「俺個人としてはね、Walterが在籍していたバンドで一番好きなのはYOUTH OF TODAYなんだ。メンバー間でけっこう好みがわかれるんだけど、みんなWalterがプレイしていたバンドは全部好きだよ」

――曲作り等に関してSchreifelsさんから何かアドヴァイスはありましたか?
 「歌い回しとか、歌入れについてたくさん良いアドヴァイスをくれたよ。Walterと作業する前にほとんどの曲は書き上げていたんだけど、ソングライティングの最終段階でも良いコーチとして加わってくれたんだ」

TITLE FIGHT 'Shed', 2011

――BAD SEEDやMALICEをはじめ、メンバーは様々なバンドでプレイしていますよね。他にも動いているバンドはありますか?
 「BAD SEEDとMALICEはもう解散しちゃったんだよ……ごめんね……。TITLE FIGHT以外のプロジェクトのために使える時間はちょっと限られちゃってるんだけど、TITLE FIGHTと違う感じの曲は俺たち常に作ってるよ」

――タフなハードコアならタフなハードコアだけ、メロディックならメロディックだけっていうバンドやファンも多いと思うんだけど、TITLE FIGHTの周辺はそういうことはないですよね。リスナーに対しても、いろんなスタイルのものを聴いてもらいたいって思います?
 「俺は、みんなに本物の音楽を聴いてもらいたいな。俺たちの周りでも、昔も今も良いバンドがたくさんいるんだってことを、けっこう見落としがちだと思うんだよね。まあ俺もそうなんだけど」

――最近、周りでおすすめのバンドは?
 「今ウィルクスバリ(ペンシルヴェニア)には本当に良いバンドが多いんだ。COLD WORLD、WAR HUNGRY、STICK TOGETHER、DEAD END PATH、UNITED YOUTH、FERAL MAN、BLACK CAT、まだまだいる。みんな個性的で最高だよ」

――昨年は来日されましたが、日本の印象はいかがでした?気に入った日本のバンドはいる?
 「日本は最高だったよ。短い時間だったけど、俺たちが今までやった中でもべストなツアーのひとつだと思う。一緒に回ったFOR A REASONが最高だったしね。NUMBも観ることができたんだけど、クレイジーだったよ」

――THE WONDER YEARSが企画した東日本大震災のベネフィット・コンピレーション『VS. The Earthquake』に参加していましたよね。どういう経緯で参加することになったのでしょう。
 「コンピレーションを作るよ、って連絡をもらったとき、ちょうど俺たちも日本のみんなのために何か手助けをしたいと考えていたところだったから、曲を提供することに決めたんだ。ほぼ1日で仕上げた曲なんだよ。日本には友達がたくさんいるからね、少しでも募金の手伝いができていたら、すごく幸せだと思ってる」

――地震の被害に遭ったTITLE FIGHTのファンもたくさんいると思います。みんなにメッセージがもらえると嬉しいです。
 「人生に起きる出来事って予測できないし、イカれてるよね。地震のことを聞いて、引き裂かれるような気持ちになった。俺たちが日本を旅したとき、みんな温かく歓迎してくれたし、友達として受け入れられてもらえたって感じたから、なおさらだよ。TURNING POINTのシンガーSkip(Frank Candelori)が、歌詞の中で“夜明け前が一番暗い”(『Before The Dawn』1990, New Age Records)って言ってたけど、それはまさに今のことなんだって、俺は思うよ」

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