Atom™

Atom™ / photo ©Renato del Valle

――本作には、Señor Coconutでおなじみの顔ぶれやRaster-Notonの面々に加え、Jamie Lidellさんが参加していらっしゃいますね。Schmidtさんは彼の2008年作品(12″「Little Bit Of Feel Good」)でリミックスを手がけていらっしゃいますが、彼とは長いお付き合いなのでしょうか。LidellさんがSUPER_COLLIDER(Jamie Lidell + Cristian Vogel)で活動されていた頃からご存知でも不思議ではないとは思っているのですが……。
 「私がJamieに初めて会ったのは2005年頃だと思いますが、正確には覚えていません。恐らくSUPER_COLLIDERのすぐ後で、彼が沢山の機材をステージ上に持ち込んで即興のソロライヴを始めた頃です。私たちは偶然、ヨーロッパのどこかをツアーする中で数回出会いました。彼はとても愉快で、言うまでもなく非常に素晴らしい才能を持った人物です。2008年に彼にリミックスを依頼され、その代わりに私は、当時思い描いていた曲のヴォーカルを彼に歌ってほしいと頼みました。“I Love U (Like I Love My Drum Machine)”のための最初のレコーディングは、2008年頃に行われたのです。しかし彼も私自身もレコーディングをする時間がなかったので、私の側では歌詞を幾度か変更しつつ、曲を占める大きな部分を再録音することにしました。そして年月が過ち、昨年『HD』を制作中、私はようやく新しい歌詞とハーモニー、メロディ、そしてベーシックなプログラミングを書き終え、Jamieに再び依頼する時がやってきたのです。彼のヴォーカルは『HD』制作において最後となるレコーディング・パートでした。彼のパフォーマンスや解釈は私が心の中に描いていた正にそのものだったので、私はあの曲にとても満足しています」

――昨年はKyokaさんの作品をリミックスされていましたが、彼女の音楽もまた独自の“ポップ”を持っているように思います。初めて彼女の作品を聴かれたときの感想は?
 「彼女のトラックを初めて聴いた時は、そうですね、ある意味あなたが考えるような“ポップ”と関係のある、ある種の可愛らしさがあると思いました。しかしながら、当時の私はもっと“ラフ”で少しアグレッシヴなアイディアの方により興味を持ったのです。それが私が特定のトラックをリミックスしようと考えた理由です。Frank Bretschneiderがプロダクションを手掛けていたので、恐らく全体のヴァイブは“ポップ”が少し薄まっていて、当時はそれが良いと感じました」

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photo ©Renato del Valle

――Schmidtさんの作品は、エクスペリメンタルな作風のものでも、常に“ポップ”が並走しているように感じます。Schmidtさんにとって”ポップ”とは何なのでしょう。
 「私は『HD』が、“ポップ”への明白な答えを与えるのではなく、あなたと同じ質問を問うものだと考えています。私の“ポップ”に対する考えは先ほど解説致しましたが、付け加えるならば、大衆文化に欠かすことの出来ないものはアンダーグラウンドから育てられるものである、ということです。通常、“ポップ”なアイディアは、表面下で変わった人が変わったことをしようとするところから生まれてきます。私はその変わった人の1人で、私のアイディアもまた、ある時にはメインストリームやポップの規定へと吸い上げられました。その流れが減少または崩壊していないのであれば、私は現在の“ポップ”カルチャーに対して栄養の足りないもの、という印象を否めません。事実多くのこと、主に経済の変化(例えばほぼ全世界に広がる“危機”と呼ばれるもの)は、アンダーグラウンドとメインストリームのトランスミッタとしての役割を果たしていた“ミドル・グラウンド”の存在をなくしてしまいました。芸術的な風景はただのアンダーグランドとオーヴァーグラウンドへと縮小していったのです。問題は、すでに非常に退屈なものと成り果てているメインストリームの文化に、それがどう影響がするのかということです。私は“ポップ”と見做されているものが、本当に人々が欲しているものを反映しているとは思いませんし、想像以上に逃れられないものだと考えています。それに代わる選択肢が存在しないのです。唯一選択肢が残されているとすれば、それはコカコーラかペプシか、くらいのものです」

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