MCウクダダとMC i know

MCウクダダとMC i know

楽しまなきゃ意味がない

 沖縄を拠点に活動し、嫁入りランド、Especiaとの共演、“ゲットー酒場”や“りんご音楽祭”といった名物イベントへの出演などで注目を浴び、2015年にはフル・アルバム『u & i』をリリースしているラップ・デュオ“MCウクダダとMC i know”。ウィットに富んだトラックに、日常生活の喜びや不満を何の衒いもなく綴るリリックを乗せ、フィールドを限定しない神出鬼没の活動を繰り広げるスタイルは一見無節操に思えるかもしれないけれど、その根本は想像以上にシリアスで希望に満ちたもの。沖縄で暮らす2人が今何を思うかを、ざっくばらんに語っていただきました。

取材・文・撮影 | 久保田千史 | 2016年2月

――ではベタな質問から。結成はいつ頃なんですか?
u 「結成したのは……2年前かな?」
i 「2013年の12月ですね」

――お2人は以前からお知り合いだったんですか?
i 「大学が一緒なんですけど、高校生のときからお互いやんわり知ってはいたんですよ……」
u 「話せば長くなるんですよ!」

――長い話聞かせてください。
i 「わたしたちファッションが好きで、2人とも“ファッションを楽しもうよ!”みたいな謎のネットサークルみたいなのに入っていて……」
u 「高校3年生限定の、代々続いてるサークルなんですけど。高校は別々だったんですけど、それぞれサークルには入っていて、ネット上でお互いを知るみたいな。メンバー紹介みたいな感じのページがあるんですよ。昔ホームページとか流行ったじゃないですか」
i 「Decologとか」
u 「そうそう。それ以前のやつですね。@peps!」
i 「@peps!ヤバいな!」
u 「完全に@peps!世代なんですよ!でもそれでi knowの存在を知っていて」
i 「それぞれ日記とかがあって(笑)。お互い“なるほどなるほど”みたいな」
u 「“クリーム”っていう団体だったんですけど」

――クリーム!
i 「わたしたち三代目クリームなんですよ(笑)!クリーム最高です。『FRUiTS』とかに載っちゃうレジェンドもいるし」
u 「文化(服装学院)に行く子が多かったり」

――ネットの付き合いだったわけですね。
u 「でもレス飛ばしたりとかはなくて、お互い存在を知ってただけ」
i 「そんな状態のまま、大学で一緒になったんですよね」
u 「大学に入ってからも暫く実際に会うことはなかったんですけど、やっぱりファッションで何かやりたくなって。一緒に始める人を探すにあたって声をかえるのってファッションに興味がある人じゃないですか。クリーム出身で同じ大学の人っていうのがi knowだったんですよ。それでわたしとi know、好っていう子の3人が集まって、後から加わった男の子と4人で“F.O.R”っていう団体を作ったんです」

MCウクダダとMC i know

――エフオーアール?何の略なんですか?
u & i 「“Fashion Over Ryukyu”です!」
u 「街に出ておしゃれな人を撮影する、ファッションスナップみたいなことをブログで始めたんですよ。写真撮らせてもらって、アイテムのブランド名、買った場所も聞いて。初めて話す人ばかりだから、会ったときに抱いた印象や、その人のファッションを斬新だと感じた理由も勝手に文章にしたり」

――真面目ですね。
u 「真面目ですね。研究みたいな感じなのかな」
i 「うん、研究みたいだったよね」

――お2人が一緒に活動を始めたのは、音楽ではなくファッションからのスタートだったんですね。
i 「そうですね。わたしはクラブとか行ってなかったし、ライヴもたまに行く程度だったので」
u 「洋楽のヒットチャートばかり流れてる感じのクラブにがんがん踊りに行ってましたね。うふふは(笑)。ギャルになりたかったんですよ」
i 「そうだね。ウクダダはギャルになりたかったんだよね」

――ギャルにはなれたんですか?
u 「レトロギャルです。ファッションには通じていたかったので」
i 「その頃、80年代っぽいレトロな服が流行ってたんですよ。ぎりぎりギャルだったよね。そこ攻めてたよね」
u 「攻めましたね。レトロなのか、ギャルなのかの危ういラインを」

――派手な世界が好きだったわけではなくて、単純にファッションが好きだったということ?
u 「そうです。つるんでた友達がイケイケなんですよ(笑)。元々ヒップホップが好きということもありますけど」
i 「ダンス部だったもんね!」
u 「そう!ガールズ・ヒップホップ(笑)。でも実はi knowもヒップホップ昔から好きなんですよ!」

――やっぱり、そういう今に繋がる下地はあったんですね。
i 「中学生のときに、作詞をしてたんですよ。韻踏んで。まさに厨二病ですね(笑)」
u 「ポエマー」
i 「そうなんすよね~。めっちゃポエマーなんすよ(笑)。わたしは、ハイカラ(HIGH and MIGHTY COLOR)とかモンパチ(MONGOL800)とかが出てきたような、バンドがすごく盛んな地区に住んでいて。みんな中学生の頃からバンドをすごいがんばるんですよ」
u 「バンド・カルチャーすごいよね」
i 「そうそう。バンドがんばってる友達に、自分で書いたリリックを見せてたりしてたんですよ。どう?使っていいよ(ドヤ)?って」
u 「ヤバいよ(笑)」
i 「使わねーよ!みたいな(笑)」

MCウクダダとMC i know

――自分でバンドをやろうとは思わなかったんですか?
i 「思ってなかったですね。カラオケが大好きで、歌うのは楽しいと思ってましたけど、人前でやるなんて考えたこともなかったです」

――お2人は今20代半ばくらいだから、所謂日本のヒットチャートでもラップの曲がフツーに入っている世代ですよね。
u 「あ~!そうですね。RIP SLYMEとか」

――だからラップに親しみがあるのはわかるんですけど……クラブ通いとカラオケ好きポエマーが、どうして実際ラップをやることになったんでしょう。
i 「そうですよね。なんでこんなことになってんの?って話ですよね……」
u 「それもファッションがきっかけだったんです。F.O.Rの紙媒体を作って古着屋さんとかに置かせてもらっていたことがあって、それをG-shelterっていう箱で色々イベントを企画していらっしゃる817さんが見つけて連絡をくださったんですよ。G-shelterで“沖縄のバンドマンはもっとちゃんとお洒落しろよ!”みたいな趣旨の“Beat Gathering”ていうイベントをやっていらっしゃるんですけど、そこに出るバンドのファッションをわたしたちでコーディネートしてほしいっていう依頼で。古着屋さんとタイアップして、お店にバンドのメンバーを連れて行って服を選ぶみたいな。そのときにわたしは、初めてライヴってものを観ました」
i 「SEBASTIAN Xさんとかとやらせていただいたんですよ。各古着屋さんに協力していただいて」
u 「そそれからだんだん、バンドのライヴを聴きに行くようになって、行くクラブも変わりました」
i 「ナンパがないイベント(笑)」
u 「そうそう(笑)。それで音楽が好きな人たちと繋がっていくうちに、“DJやりなよ!”って言われるようになって。機材触ったことないけど?って思ったんですけど、“Hakkin’!!”ていうイベントを主催しているはなまるさんが教えてくれることになったんですよ。はなまるさんは古着が好きで、ファッションの面でも知り合いだったこともあって。それでDJになったんです」

1 2 3 4 5