夏の大△

夏の大△, 2014

―― “究極のバンド”というか……。
一同 「笑」
矢代 「それ大丈夫ですか?文字にしたら訳が分からない感じになりませんか(笑)?」
川口 「スピってるっぽい(笑)」

――いやいや(笑)、DVDを拝見していても、今おっしゃっていたような“バンド感”をすごく感じるんです。お互いの干渉や音なしで “バンド感”のみ存在しているというのは、ある種エクストリームな“バンド”だと思うんですよ。
矢代 「そうですね。ただ、“何がやりたいのか”っていうのは実はそんなに明確に言えるものではないんですよ。逆に、“何がやりたくないか”っていう部分の方が大きいのかもしれない。“ヴィジュアルアートみたいになりたくない”とか、“彫刻的なインスタレーションにはなりたくない”とか。かと言ってすごく捻くれた、ラディカリズムの極北を行くようなこともやりたくないというか。本当に普遍的な何かを用いて、新しいことをやりたいという漠然とした思いだけはあるんですけど」

――それって相当に困難なことですよね。
矢代 「難しいと思います。自分たちにできているのかどうかはわからないんですけど」

――それを、こういう言い方は的確ではないかもしれませんが、ポップに観られるというのがすごいな、と思っていて。
川口 「ああ~。たしかに、ライヴはすごくポップなんじゃない?」
矢代 「そうですね。じっと黙って座っているようなものじゃないから。京都の古い廃校でのフェスティヴァル(高尾小フェス)に呼ばれて出演した時は、小さい子供とか普通のオジさんも観に来てくれて。何かしら動いてたりすると、子供はやっぱり食い入るように観ている感じはありましたね」
大城 「その時は教室をひとつ与えられて、5時間くらいずっとやってたんですよ(笑)」
川口 「普通に音楽のフェスティヴァルだから、決まった時間に色んなところでライヴをやってるんですけど、自分たちは1日中ずっとやってるから、人が来たり、来なかったりで。ちょっと観てつまらなかったら帰ったり、おもしろかったら何回も来てくれたり、長い時間滞在してくれる人もいて。そういう状況だったんで、初めは教室の中だけでやっていたのが最後の廊下まで増殖していって(笑)」
矢代 「廊下と教室の間に窓があって、そこを何かが貫通していたりとか。重力に逆らったような造形が生まれたり(笑)」
大城 「廊下は誰も通れなくなってたよね(笑)」
矢代 「たまにプシューって煙が出て。客観的に観たらポルターガイストでしょ」
川口 「廃校だし、あれは単なるおばけ屋敷だよね(笑)」

――(笑)。そういうのって、所謂“アート”とか“美術”の視点で見てしまうと、笑うのは憚られる気がするんです。
矢代 「そうですね、“パフォーマンスアート”と言われたらそうなのかもしれないんですけど、舞台があって、客がいて、という構造ではないのかな、って思うんです」
大城 「“これをしなきゃいけない” みたいな決まり事が特にないんですよ。やろうと思えば、3人とも何も持って行かないで現場にあるものだけで何かやるとか、歩き回って終わりとか、そういうことでも成立しちゃうというか。DVDでもそういうところがあるけど(笑)」

――そうですね、三浦海岸で撮影されたものはほとんどそうですよね。
大城 「最初の2編で、普段やっていることは撮れちゃってたんですよ」
川口 「ライヴってほとんどが室内じゃないですか。ちゃんと四隅のある空間で。そうじゃない場所で一度撮ってみよう、っていうのがあったんですよね。あとは何もないところに行ってみて、何ができるのか試してみるとか」
矢代 「そうね。機材がないと不安になってしまう症候群から逸脱したい思いもあったのかもしれないですね」
川口 「さっき言った“やり慣れたバンド”と一緒で、それぞれソロでたくさんライヴをやっていると、だんだん“持ちネタ”みたいなものができてくるじゃないですか。これを持って行って、これをやったら最終的に絶対にウケるっていう(笑)。時間がなかったりすると、どうしてもやっちゃうんですけど、そういうことはもう止めたいって思っていたんですね。でも実際に行ってみると本当に何もなくて、ものすごく困りましたけどね(笑)」
大城 「外だから色々落ちてるかな、って思ったら……」
矢代 「すごく綺麗な海岸で、落ちてる物がほとんどなくて(笑)。撮影の前に3人でお弁当を食べてたんですけど、ちょうど上に鳶が飛んでいて。鳶って、人が食べてるおにぎりとか、襲うって言うじゃないですか。だから鳶が来たらいいな、と思って唐揚げを置いておいたんですけど、来なくて(笑)」

――石を割ったり、素振りとかもされてましたよね(笑)。
大城 「あれしかやることなかったから(笑)。最初はまさか割れるとは思ってなくて、投げて当たったら割れちゃったみたいな(笑)」
川口 「全部結果の話でしかないっていう(笑)。完全に思いつきだよね」

――単に“活動”というか。それを“アート”と呼ぶかどうか、みたいなところだと思うんですけど。
川口 「確実にアートではないと思うよ(笑)」

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