杏窪彌

杏窪彌

気を遣い過ぎると楽しくなくなっちゃう

 台湾からやってきた女の子“MIN”を中心に、翔(b)、玲生(g)、肉まんドラマー幹の4人で結成されたポップス・バンド“杏窪彌(あんあみん)”。2011年頃の始動以降、ライヴ・パフォーマンスに加えて展覧会の開催をはじめとする多様なアウトプットを展開し、手作り感満点のCD-Rシリーズやオールドスクールな“オリエンタル”を湛えた無国籍ポップスをモダンにアップデートした楽曲群で注目を浴びてきた同バンドが、初のプレスCD作品『箱根にしようか E.P.』をリリース。じっくりとアレンジを重ねたことが窺える同作は、多彩な音楽性を吸収したノスタルジックなメロディ、耳に残る言葉選びが独特なリリック、MINの凛とほっこりが共存する歌唱という、“杏窪彌らしさ”が三拍子揃った力作です。同作までの道程を、シンガーMINさんに伺いました。

取材・文 | 久保田千史 | 2013年12月

――MINさんは、いつ台湾からいらっしゃったのですか?
 「不知不覺我就在日本了。
 気付いた時にはもう、日本にいたんです

――えっ(笑)。何をきっかけに今日本にいるということ認識したのでしょう。
 「因為我周圍的人說的話我都聽不懂。
 わからない言葉をみんな喋ってるから

――その状況の中で、バンドのメンバーはどのようにして見つけていったのでしょうか。
 「我的團員們突然一個人接著一個人聚集到我身邊、我也搞不懂(笑)。一開始是貝斯手的翔、然後另外兩個人就出現了。所以我們就組團了。我是三藏法師、翔是悟空、玲生是沙悟淨、肉包鼓手是幹、我們一起往西邊移動、朝著天竺走。想帶著更多人一起去。
 メンバーは勝手に集まってきてたから、よくわからない(笑)。最初はベースの翔くん1人しかいなかったんですけど、気付いたらポポン!てもう2人出てきて。それでバンドが始まったんです。わたしが三蔵法師で、翔が悟空、玲生(g)が沙悟浄、肉まんドラマー幹が八戒として西に遊びながら天竺を目指していますが、どうせならもっとたくさんの人たちを連れて、みんなで行きたいと思ってます

――“杏窪彌”はどんな意味なんですか?
 「“un ami”是法文的朋友的意思、我加上自己的名字“min”想出的造語。是有意思的。
 “un ami”ってフランス語で“友達”っていう意味で、そこに自分の名前の“min”をくっつけて作った言葉です。意味を込めてるんです

――バンドは以前からやりたかったのでしょうか。
 「也不是。但從以前就很喜歡唱歌。
 そうでもないです。でも、歌は大好きだったから

箱根にしようか E.P.
杏窪彌 ‘箱根にしようか E.P.’, 2014

――台湾にいた頃から歌は唄っていたのですか?
 「我小時候長跟阿嬤在一起、所以長聽阿嬤喜歡的台語。很有鄉土味。你們可能會嚇一跳(笑)。
 そうですね。おばあちゃん子だったから、おばあちゃんが唄っている、中国語じゃなくて台湾語の歌を聴いてました。ローカルな感じ。聴いたらローカル過ぎてびっくりするかもしれない(笑)

――台湾に古くから伝わる歌ということ?
 「對。
 そうです

――その影響が現在、杏窪彌として唄うにあたって出てきたりすることはありますか?
 「我想沒有(笑)。台語歌的唱法、有點像演歌。
 出てきてないと思います(笑)。台湾の歌の唄い方は、ちょっと演歌っぽかもしれない

――台湾のポップスなどは聴いていなかったのでしょうか。
 「不常聽、國中的時候喜歡聽西洋的音樂、高中的時候才開始聽日文歌。然後就變成只聽日文歌了。
 あまり聴いてなかったですね。中学生の頃は洋楽をよく聴いていたんですけど、高校生になってからは日本の音楽を聴くようになって。そこからはもう、日本のしか聴いてないです

――ほかのメンバーはどんな音楽が好きなの?
 「風飛飛、鄧麗君、“望春風”、Sadistic Mika Band、CHAKRA、坂本 九、小林 旭、吉 幾三、水前寺清子、町あかり、むせいらん、Martin Denny、YMO、“北風小僧の寒太郎”、“みんなのうた”、はっぴいえんど、大滝詠一等等。
 フォン・フェイフェイ、テレサ・テン、“望春風”、サディスティック・ミカ・バンド、チャクラ、坂本 九、小林 旭、吉 幾三、水前寺清子、町あかり、むせいらん、マーティン・デニー、YMO、“北風小僧の寒太郎”、“みんなのうた”、はっぴいえんど、大滝詠一とかみたいです

杏窪彌

――杏窪彌としてのコンセプトのようなものはあるのでしょうか。
 「杏窪彌是幻想中的國家。杏窪彌王朝。裡面住4個人。有夢想、有崇景、有冒險、加上有點不知道是哪裡的亞洲節奏、是這個國家的動力。我們很重視接觸各種異文化、然後把沒有落處的那種感覺結合到藝術上。一定會到來的令人懷念的未來表現在歌曲中、這就是新歌謠的主題。而背後其實是在台灣在日本都會令人感到很懷念的節奏。
 杏窪彌は空想国家です。杏窪彌王朝。人口は4人です。あらゆる夢、憧れ、冒険、さらにはアジアに対する間違えたエゾチズムが、この国のエネルギーです。異文化に接したような感触を大事にしていて、それは落とし所のない気分にさせるアートに繋がります。これから来るであろう、懐かしい未来を予言的に唄う、ネオ歌謡がテーマです

――歌詞は翔さんが書かれているのですか?
 「幾乎都是翔寫的、中文的地方一部分是我寫的。
 歌詞も全部翔くんだけど、中国語のところだけわたしが書いてる

――歌詞、すごく変ですよね。
 「真失禮!
 失礼~(苦)!

――いやっ、良い意味でなんですけど(笑)。言葉遊びの要素があったり、風変わりだと思うんですよ。
 「我從來都不覺得奇怪!不過反正我也不是很懂、所以就唱了就對了。
 変なんて思ったことない(怒)!でも、あまり日本語わからないから、ただただ唄ってるだけ(笑)

――MINさんが曲作りに参加することはないのでしょうか。
 「我不會樂器。所以什麼意見都不說。只是有時我喜歡的部分突然被改掉時我就會說那個部分。
 う~ん、わたしは全然楽器とか弾けないから、何も言わないです。でも、編曲でわたしの好きなフレーズが違う感じになっちゃった時は“消えてるんだけど!”って言ったりはする