SEX VIRGIN KILLER

SEX VIRGIN KILLER / photo ©Miki Matsushima 松島 幹

トラウマになるような活動

 遡ること数年前の東京近郊。終演後のライヴハウス入り口付近に、今時珍しくひとりひとり熱心に声をかけながら無料のデモテープやDVD-Rを配る若者の姿がありました。配布されたパッケージはと言えば、口にするのを憚られる直球のバンド名、X JAPAN(以下X)を筆頭にAION、ROSENFELDといった、“ヴィジュアル系”という言葉すら存在していなかった時代のヴィジュアル・メタルを彷彿させるサウンドとクライム・オブ・ヴィジュアル・ショックな出で立ち。街で悪行の限りを尽くす(規模小さめ、レイドバック感あり)メンバーを映し出すミュージック・ビデオ。それが後に2008年作『SEX or DIE』でデビューすることとなるSEX VIRGIN KILLER。メンバー・チェンジを繰り返しながら活動し、2009年にはシングル『0(ゼロ)』のリリース以降は作品発表が滞っていたものの、昨年12月に2枚のシングル「crimson red ep ♂」「crimson red ep ♀」を携えてカムバック。本作ではBAREBONESやSTUPID BABIES GO MAD作品などでも腕を揮うBorisのAtusoをプロデューサーに起用。音響面はもとより、2枚同時再生トラックをはじめとするアイディア、特徴のひとつであるヴィジュアルまでも洗練・進化させ、従来通りのヴィジュアル・メタル感を損なうことなく、これまでにない質感の“ロック”を作り上げています。その過程をギター / ヴォーカル・masaに伺いました。

取材・文 | 久保田千史 | 2014年2月
main photo | ©Miki Matsushima 松島 幹

――masaさんはSEXを始められる以前はハードコア・バンドでプレイされていたんですよね。
 「10代の頃に、RUTHLESSとKattu-という2つのバンドをやっていました。RUTHLESSではギター、Kattu-ではヴォーカルをやっていたんですよ。RUTHLESSはCONCLUSIONというバンドの狂壱くんがドラムで、後にMETAL SKULLに加入するシンジくんがベース・ヴォーカルっていう、不思議な組み合わせだったんですけど」

――それめちゃめちゃかっこ良さそうですね!音源は出ているんですか?
 「デモを出してましたね。おもしろいバンドだったと思いますよ」

――そこから今のようなスタイルへ変化したのには、何かきっかけがあったのですか?
 「パンクやハードコアを聴いたりバンドを組んだりする以前に、もっと若い頃はヴィジュアル系も聴いていたので、元々好きではあったんですよ。パンク、ハードコアのバンドを続けながら徐々に色んな音楽を聴いてゆくにつれ、周りがちょっとびっくりするような、何かおもしろいことがやりたくなってきて。中途半端にやるよりは振り切れたほうが良いと思って、突然こういうバンドを始めたんです」

SEX VIRGIN KILLER / photo ©<a href="https://www.mikimatsushima.com/" target="_blank" rel="noopener"><span style="color: #ffffff;">Miki Matsushima 松島 幹</span></a>
photo ©Miki Matsushima 松島 幹

――若い頃に聴いていたヴィジュアル系というのは?現在のサウンドからも連想される、X的な80sメタルコア寄りのものでしょうか。
 「ヴィジュアル系全般という感じではないんですけどね。リアルタイムでよく聴いていたのは黒夢の中期・後期あたりだったんですよ。そういう世代です。12歳くらいの話ですけどね」

――赤いダイエースプレー・ヘアはかまいたちと比較されることも多いと思うんですけど、そういった時代のものはディグって知ったんですね。
 「そうですね。徐々に知っていった感じです。かまいたちはドラマーのdieがすごく好きですね」

――Extasy系はいかがですか?
 「Extasy系のバンドも一通り聴いたんですけど、やっぱりdieが特に好きなんですよ。彼はDISCHARGEやGAUZEのようなハードコアも大好きですけどね」

――masaさん自身はどんなイメージだったのでしょうか。
 「結成したばかりの頃はGASTUNK、AIONあたりをよく聴いてましたね」

――なるほど。GASTUNKは今回、カヴァー(“Birth of Stars”)も収録されていますもんね。初期のDEAD ENDなんかはどうでしょう。
 「DEAD ENDは、CREATURE CREATUREを観に行った時にMorrieさんと直接お話できる機会があって、その一夜で一気にファンになりましたね。佇まいも素敵な方で。以来、より意識的に聴くようになりました」

――そうですね、DEAD ENDは最近の曲もかっこいいですもんね。
 「かっこいいですよね、本当に」

――とはいえ、SEXについて最も引き合いに出されることが多いのはやっぱり初期Xですよね。
 「たしかに、結成当初は特に強く意識していたバンドではあります」

――Xはジャパコアとの繋がりが深かったバンドですし、masaさんが元々ハードコアをやっていらっしゃったこともあって入り込み易かったのでしょうか。
 「そうですね。ただのヴィジュアル系ではなくて、ハードコアにも通じるような音楽性、活動のスタンスも含めて、惹かれるものがありましたね」

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