Nine Cocoons Of Dens To F 大阪篇
本稿“大阪篇”では、大阪・西心斎橋の銘店「TIME BOMB RECORDS」のスタッフとしても高名なHiroyoshi Shoji氏(g / 以下 S)、CATAPLEXY / ASSEMBRAGEの一員としてのみならず“Fareast Death Cult(旧Hammer Sonic)”の主催者としても知られるHiroyoshi Kaneuchi aka “Puno de Hirro”氏(g / 以下 K)、GREENMACHiNE / ASSEMBRAGE / 元ZYANOSEのYoshikawa aka “将軍”氏(b / 以下 Y)、DUG REVENGE~ABUSE THE ABUSERのSoo氏(dr / 以下 So)、暴虐の漆黒ヴォイスTaku氏(vo / 以下 T)という、関西オールスターズの様相を呈する220フルメンバーにお答えいただいています。
取材・文 | 久保田千史 | 2018年2月
main photo | ©Natsumi Okano
see also COFFINS | Nine Cocoons Of Dens To F 東京篇
――まず人的な接点を教えてください!かねてより交流があったのでしょうか。
K 「内野さんとはCATAPLEXYでの対バンがきかっけだったかな。たぶん、2000年前後」
S / T 「あたけとはSECOND TO NONEの初期のライヴでの対バンで知り合った。彼はその時、DIVISIONやったかな。トッキーとサトシくんとはこの2年で何やかんやと言い合う仲に」
――音楽の好みに関する接点はたくさんありそうです。例えばWINTER。COFFINSはWINTERウォーシップを公言していますし、SECOND TO NONEはカヴァーもしています。でもそれぞれ影響を受けたポイントが微妙に異なる気がするので、WINTER持論を聞かせてください!
S / Y 「僕らはめっちゃ好きなバンドですよ」
K 「俺は全く興味なし!」
S 「“論”にまとめるほどではないですけど、あのズルズル感には影響は受けています」
――BOLT THROWER観を教えてください。COFFINSは今回、「Impuritious Minds」でWINTER感 + 半減速ボルトスロウィングを極めていますよね。
S 「初期も良いし、4枚目からのスタイルも良い。我が道を極めた極道デスメタル!BENEDICTION最高!」
K 「Jo Bench!」
――大まかに、COFFINSはHELLHAMMER、SECOND TO NONEはCELTIC FROSTという感じで捉えているのですが、いかがでしょう。
全員 「リスナーに委ねます」
――大まかに、COFFINSはPROPHECY OF DOOM、SECOND TO NONEはAXEGRINDERという感じで捉えているのですが、いかがでしょう。
全員 「リスナーに委ねます」
――あまり関係ないかもしれないけれど、CROWBARはアリですか?ナシですか?
S 「もちろん、アリで。大好きですし、CROWBARにインスパイアされて出来たのが“The River”(*)。全然、違う形になってしまったけど(笑)」
* WITS END(052)とのスプリット作『Paraphernalias For The Apocalypse』(1998 / Radical East)に収録。2009年のデモCD-Rおよび2016年の1stフル『Bāb-Ilū』には現編制でのオルタネイト・ヴァージョンを収録。
――興味深いと感じているのは、ざっくりメタルとして認知されているCOFFINSよりも、ざっくりハードコア・パンクとして認知されているSECOND TO NONEのほうが多分にエピックなメロディを含んでいるということです。PARADISE LOSTとSOLSTICE(UK)だったら、どちらのほうがSECOND TO NONEの肌感覚に近いと思われますか?
K 「PARADISE LOST。SOLSTICEには、あまり興味がわかない……」
S 「UK SOLSTICEは音にはダイレクトには出てないとけど、影響はあるのかもな。オレは大好きなバンドです。 BOLT THROWERもやけど、パンク上がりのデスメタルとかドゥームメタルに個人的には惹かれる」
K 「初期のPeaceville、Earacheがリリースしてるバンドからは多大な影響を受けてると思う」
――“ざっくりメタル”、“ざっくりハードコア・パンク”という言葉を使わせていただきましたが、実際、初期SWANSのイメージでスタートしながらもPUNGENT STENCHをカヴァーしちゃうまでにデスメタル化したCOFFINS、DARKSIDE NYC影響下の異端モッシュコアからエクスペリメンタルなスラッジング・ドゥームに進化したSECOND TO NONE、どちらも各カテゴリ内ではかなり特殊な存在です。活動にあたって、メタルだ、ハードコアだ、という意識は持ち合わせているのでしょうか。
K 「いわゆる“ジャンル”ってやつに囚われていない」
T 「視野を狭めてしまうのは勿体ないです」
――以前T. G. Warrior師にお話を伺った際、「私たちは全然オリジナルではない。オリジナルはTony Iommiだ」とおっしゃっていたのが印象的だったのですが、明らかにオリジナルです。COFFINSとSECOND TO NONEも、引き合いに出せる音楽は多々あれど、圧倒的にオリジナルだと感じます。ご自身のバンドのオリジナリティについて思うことを聞かせてください。
S 「T. G. Warriorの発言に沿う考えですね。僕らに“オリジナリティ”はないと思ってます。良い音に触発され、それを貪欲に取り入れていき、アウトプットに変えていく。ただ、それのみです」
――『Prophet』やWITS ENDとの最高過ぎるスプリットがリリースされていた1990年代当時の状況だったら、正直、今回の作品のような出来事は起こり得なかったように思います。先輩にあたるSECOND TO NONEから見て、この20年で所謂シーンはどのように変化したと感じますか?COFFINSのようにデスメタルもドゥームもクラスト・パンクもシームレスに横断する存在の登場はどう目に映ったのでしょうか。
T 「シーンは変化して当然と考えます。“どの様に”と問われると具体的な回答はないんですが……。“集まる”“横のつながり”の為のスキルが高くなったとは思っています」
K 「COFFINSに関しては偉大な存在として認識していますよ」
T 「うん。良い勉強させてもらってます」
――ここ10年で現れたバンドの印象について聞かせてください。例えばXIBALBAやPRIMITIVE MANなんてどうでしょう。
S / Y 「XIBALBAのいなたさはかっこいい!」
S 「最近のバンド、カッコイイのん多いんよ」
――国内に近しい感覚のバンドはいますか?なんとなく、関西ならEAT、関東ならREVÖLTって感じがしますが……。
S 「感覚的にと言う切り口やったらDIEDRO LOS DIABLOSとCOFFINS」
――今回のスプリット作にあたって、曲作りにお互いのバンドのスタイルは意識されましたか?
全員 「してないです」
T 「内野さんも同じ意見だと思います」
――曲は別々でも、パッケージはひとつです。ヴィジュアル・イメージの擦り合わせなどはしたのでしょうか。COFFINSはゴアリーなイメージ、SECOND TO NONEはリリジャスなイメージが確立されていると思うので。
T 「あたけと僕で“こんなんかな?”って話したりしましたよ。タイトルが確定して、デザインの初校が上がってくるまではちょっと難航しましたけど。デザインは072(DISTURD / b)にやってもらうことは決まってたので、彼のタイトルへの理解がこのジャケデザインになった感じです」
――本作が完成して、手応えはありましたか?個人的に、全部乗せ感のあるスプリットなので、第2弾以降も期待したいところです!
So 「頑張った分が音に出てると思います」
Y 「手応え、ありまくり」
S 「COFFINSは大好きなバンドなので、スプリットの話が来た時は嬉しかった。そら、気合いも入ります。COFFINS好きにSECOND TO NONEを聴いて欲しいし、オレらのこと好きな人にCOFFINSを聴いて欲しい。COFFINSのこの2曲、最高なんで!! 個人的にスプリットとかオムニバスは好きなんで、機会があればまたやりたいって感じです」
K 「正直、今はこの手の音のライヴのお客さんが減っていると思う。しょうじも言ってるけど、このスプリットによって少しでも活性化に繋がれば良いかな。 また、俺らのやってることがこの先出てくる若いバンドの為になれば」
T 「クラシックにしたいんですよ。そういう誇れる音源に近づいて来たんじゃないかなって思ってます」
Fareast Death Cult Official Site | https://fedc.jimdo.com/