FKA twigs

FKA twigs / photo ©David Burton

――“音”をとても重視されているんですね。
 「はい。ドラムから入って、その後に歌詞やメロディを作ることが多いですね。先に歌詞を書いて、その印象からサウンドを作るということもたまにありますけど」

――ドラムからという制作方法は、これまで好んで聴いてきた音楽に影響されているところもあるのでしょうか。
 「どうなんでしょう……。それはたぶん、わたしが所謂“良いミュージシャン”ではないからだと思うんです。音楽理論に精通しているわけではないし、コード進行なんかは後付けだから。でもビートを作るのは得意で、頭の中で考えるメロディには自信がある。わからない部分は周りの人と一緒に考えながら作る感じですね。その過程で普通ではないコード進行が生まれてしまうことも多くて」

――それも魅力的ですよね。
 「そう。すごくおもしろいんです」

――かつてはダンサーとして活躍されていましたが、その頃の身体感覚が音楽に影響しているところはありますか?
 「あると言えばあるし、ないと言えばないという感じですね。体が会得してきたリズム感はたしかに影響していると思いますけど、ダンスをやってきたことが音楽を拘束するようなことは一切ないです。過去の経験が現在に影響を及ぼすのは当たり前だし、全く関係がないとは思いませんが、ダンスと音楽は別のものとして考えています」

――「Pendulum」ではミュージック・ビデオもご自身で監督されていますよね。
 「観てくれたんですね、ありがとう。 あの“縛り”は日本のものでしょう?」

――そうですね。実際、日本の緊縛にインスパイアされたもの?
 「はい。初めは結び目のパターンに惹かれました。ある意味、緊縛はアートフォームですよね。美しいです。MVでは、不安に縛られて身動きが出来ない人の姿を描きたかったんです。人は不安にかられている時、色んなことを求めてしまいますよね。でも求めれば求めるほど手に入らなくて、自分の首を絞めてしまう。その感情を自分の髪の毛に縛られることで表現しました」

――あなたの楽曲は、ソウルフルであると同時にポストパンクに通じるコールドなテクスチャも持ち合わせていますよね。
 「そうなんですよね、よく“ソウルフルだ”って言われるんですけど、違和感を覚えます。自分ではもっとコールドな音楽だと思っているんですよ。R & Bよりも、エゲつないパーカッションのインダストリアルや、メタリックなノイズのほうが好きなんです。若い頃はKRAFTWERKとかDEVO、X-RAY SPEXなんかが好きでした」

――緊縛には特殊な技術が必要で、縛られた人に身体的な苦悶を与えるために、ある意味メカニカルな機構を備えています。あなたの音楽も、緻密でメカニカルな側面と、フィジカルに訴える側面を持つという意味で共通するところがある気がするんです。
 「そうかもしれない。それに、デンジャラスな部分も共通していると思う!MVはDave Rickmanさん(aka WykD Dave)に緊縛を手伝っていただいたのですが、撮影中、彼に“長い時間縛っていると、神経が切れて腕が麻痺してしまうかもしれない”と忠告されたんです。大人だから自分の身体のことくらいわかるし、大丈夫!って答えたんですけど、“麻痺は6ヶ月くらい続く”と言われて、それはヤバいと思って(笑)」

――ヤバいです(笑)。そんな危険が、音楽の制作にも?
 「身体的な危険はもちろんないです(笑)。でもわたしの音楽は、人の反応を重視する側からしたらすごく危険。そういうことを気にして作ることはまずないから。それがわたしらしさだと思って、どんどん突き進むようにしているんです」

FKA twigs official site | https://fkatwi.gs/
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