近藤さくら + CARRE

近藤さくら + CARRE / photo ©Ichiko Uemoto 植本一子 | 天然スタジオ

――これまでの作品も含め、タイトルはそこまで重視していないのでしょうか。付けなくても良いくらいの。
MTR 「まあ、そうですね。付けたい曲もあるし、無理して付ける曲もある。今回の場合は、さくちゃんの絵が本当のタイトルというか。だから付けなくてもよかったんですけどね。“何曲目”みたいな感じで言うよりも、一応タイトルがあるほうが自分たちも覚え易いから。タイトルが浮かんで、その意味がわかってくると、それに引っ張られるパターンもあるし」
NAG 「MTRくんはよく、“まずタイトルを決めよう”みたいなことを言うんですよ。タイトルから曲を作ろうとすることもありますね」

――NAGさんにもそういう感覚ありますか?
NAG 「僕はどちらかというと音から作ります」
MTR 「それ以前に、これまでCARREがリリースしてきたものって、CD-Rで出していたものも含めて全部ジャケからできてるんですよ。“もうジャケができたから中身を作ろう”みたいな」
NAG 「(笑)」

――今回の近藤さんとのコラボレートは、ある意味その延長にあると言えるのかもしれないですね。
MTR 「そうかもしれない。アルバムのジャケがちゃんと決まったのは最後だったから、そういう意味では逆だけど、さくちゃんの絵がジャケになるっていうのがまず決まっていたという点においてはたしかに、今まで通りっちゃ今まで通りだったのかも」
近藤 「作り方はわたしも似ているかも。わたし、最初に展示のイメージがないとなかなか絵を描かないんですよ。日々描き溜めていて、ある程度蓄積されたら展示をするっていうんじゃなくて、“こういう展示がしたい”っていうところに向かって絵を準備するやり方だから。似てるね」
NAG 「そうだね」

――空間や、絵同士の構成から考えるということですか?
近藤 「う~ん、設計図というか、部屋の見取り図みたいなものはわりと日々描いてますね。ここに大きい絵があって、ここに細かい絵があって、真ん中に何かあって……とか」

――へえー!そういうことやられてる方って周りにいらっしゃいますか?
近藤 「どうだろう……。でもいわゆる“画家”と呼ばれる人って、毎日、何時間でも、いくらでも描いて、その膨大な量の中からふるいにかけて作品として発表する人が多いですよね。絵を描くことが日常と繋がっているというか。そういう人のこと私は羨ましいなと思ってます。わたしにとって描くことは非日常なんです。だから何か先に決まったことがないと手が動かない。あとよっぽどすることがない時とか(笑)」
NAG 「僕らも完全にそうです」
MTR 「今回はボツ曲がたまたまあるけど、基本的にムダなことはやりたくない(笑)。創り溜めてる感じは全然ないし、そんなの苦痛でしかない(笑)」
近藤 「描くの苦しい(笑)」

――でも所謂“音楽家”とか“画家”とかの一般的なイメージって、たぶん逆ですよね。
NAG 「ああ……」
MTR 「だって、僕らはそういうのじゃないですから。ただの遊び人(笑)」
近藤 「あはは(笑)!」
MTR 「さくちゃんは画家だと思うけど、僕らはねぇ……」
近藤 「わたしも、いわゆる生粋の芸術家ではないと思うよ。憧れを込めて“画家”って言ってるけど。できることなら何も考えずに楽しいことして過ごしたいよ。南国に行くとか。友達と呑みに行くとか。楽しいことはいくらでも思いつくし、そっちに行きたいんだけど」

――展示は楽しいことのうちに入らないんですか?
近藤 「展示自体は楽しい」
MTR 「始まると楽しいけど、それまでが本当に大変だっていうことが今回よくわかりました(笑)」
近藤 「“だったらやらなければいいじゃない?”って思われるかもしれないけど……やらなきゃいいってわけでもないの。やりたいの。でも苦しい……結局はこのループをずっと続けていくんだと思う」

"6 Hours of SAKURA KONDO × CARRE" /  photo ©<a href="https://clinamina.in/" target="_blank" rel="noopener"><span style="color: #ffffff;">Chifumi Kubota 久保田千史</span></a>

――とは言っても、例えばメジャー・レーベルの、きっちりしたリリース・スケジュールで……みたいな感じではないですよね?
MTR 「そうですね。でも、もしかしたらそういう予定があったほうが、作り易いのかもしれない」
NAG 「締切がないとね(笑)」
近藤 「わたしもそう(笑)」
MTR 「ただ、僕たちに関して言えば、リリースが目的でやってるわけじゃないんですよ。もちろん物として残るのはすごく嬉しいですけど、それを作るために他の何かをセーブするのは本当に苦痛だから。そこは上手くバランスをとって。リリースをするにしても、一発入稿で1週間後にパッケージされたものが1,000枚届いて、値付けして、みたいなものを出すつもりは全くないし、嫌なんですよ。流通盤の『GREY SCALE』にしたって、この箱をひたすら自分たちで作ってるわけです。音楽と、ジャケットだったり、パッケージだったりの比率が全部同じでないと嫌というか。やっぱり、そういう内職みたいなことに憧れがあるから。昔のパンクとか、それこそTHROBBING GRISTLEもそうですけど、週末にメンバーが集まって、みんなでシルクを刷ったりしていたわけじゃないですか。手を動かすっていう。そういうのが好きなんですよ。もちろんCDのプレスとか印刷は自分たちでやるのはなかなか難しいですけど、可能なところは全部自分たちでコントロールしたいんですよね」

――近藤さんのCULTIVATEでの展示に感銘を受けたというのは、DIYの質感に因る部分も大きかったのでしょうか。
MTR 「ああ、そうですね。それはあるかもしれないです」

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