近藤さくら + CARRE

近藤さくら + CARRE / photo ©Ichiko Uemoto 植本一子 | 天然スタジオ

――マニュファクチュアリングですよね。一般的に言われるインダストリアルの対義語として。
MTR 「そうそう。それですよ。TGが言うインダストリアルっていうのは、アンチ・インダストリアルなわけじゃないですか。昔のノイズ・インダストリアルの人たちの“インダストリアル”は、パンクで言うところの“DIY”と同じで、ほとんど思想だから。全く同じものが大量生産される感じへの嫌悪感とか。最近またジャンルとしてインダストリアルってよく言われますけど、別物ですよ。本来のインダストリアル・ミュージックの人たちは、みんな家で内職してたわけだから。それをやらなかったら全然、嘘ですよ」

――そういう意味で、CARREはすごく難しいですよね。“インダストリアル”と銘打って紹介すると、ジャンルとしての“インダストリアル”として刷り込まれてしまう。
MTR 「言葉としてね。まあ良いんですけどね。間違った解釈をしてくれるのも、それはそれでおもしろいと思う」

――ジャンルという観点でも、ノイズなのか、テクノなのか、みたいにどこにも寄せられない感じがCARREですよね。それはそういうものを目指した結果なんですよね。
MTR 「最初から、何なのかわからないものがやりたかったから。紹介ができないから売るのが難しいっていう困難は伴いますけど(笑)、ざまーみろとも思いますよ」

――近藤さんの絵も、説明はし辛いものですよね。
近藤 「そう。いつも“何の絵なんですか?”とか“何をイメージして描いてるんですか?”ってすごく聞かれるんですけど……答えるのにいつも困りますね」

――でも実のところ……何をイメージして描いてるんですか(笑)?
近藤 「何も考えてないですよ、頭真っ白(笑)。“あなたは何を考えているのかわからない”って色んな人に言われるんですけど、何も考えてないだけです。展示で6時間描いた時は、できるだけ今鳴ってる音をちゃんと残していこうと思ってました。耳に集中して描いてましたね。あの時はいくつかの小さめの紙に描いたんですけど、本当は巻物みたいな紙に音を残したかったんです。結局あれが一番描きやすかったからああしたけど。そういうことは考えてますね。頭が真っ白の状態で何かをひねり出すのが楽しいんです」
MTR 「でも抽象的なものをやっているつもりはないですよ」
近藤 「そうだね。あと、たぶんCARREもそうだと思うけど、“暗黒なんじゃないですか?”って言われない?」
NAG 「言われる」
近藤 「実際はそんなこと全然ないでしょ?」
MTR 「ないね」
近藤 「むしろめちゃくちゃ清々しい気持ちで作ってるんだよ(笑)」
MTR 「和気藹々とやってるんだよね(笑)。録音もだいたい笑いながらやってるけど、なぜか出来上がるとその感じは伝わらないんですよね。恐い人だと思われてたりとか(笑)」

――でも皆さん、受け手としては“ダーク”と言われているようなものはお好きなんじゃないですか?
NAG 「まあ……ものによりますけど、わりとそうですね」
MTR 「そんなことないでしょ、明るいのも全然聴いてるじゃん」
NAG 「そうだね、別に“ダークだから”聴くわけじゃないですよ」

――“ダークだから聴く”という方も世の中にはたくさんいらっしゃいますよね。
MTR 「そうですね。特に僕らがカテゴライズされてしまうところのリスナーっていうのはそういう人が多いのかもしれない。でも僕ら自身はダークじゃないし、そういう人たちが僕らの音楽を聴いても、あまりおもしろく感じないんじゃないかな(笑)。もちろん、聴いてみてはほしいですけど」
NAG 「単に、明るい曲は恥ずかしくてできないだけなんだよね」
MTR 「ギリギリ、フザけた音楽ならできる。明らかにメジャーコードものはテレが入ってできないね。そういうものは周りにいる人が巣晴らしい音楽を作ってるから、それでいいや、と思っちゃう。それこそ、僕はシティポップみたいなのが大好きなんですけど、自分の表現としてはできないし」

"6 Hours of SAKURA KONDO × CARRE" /  photo ©<a href="https://clinamina.in/" target="_blank" rel="noopener"><span style="color: #ffffff;">Chifumi Kubota 久保田千史</span></a>

――そういうCARREも聴いてみたいですけどねえ。
近藤 「興味あるなぁ」
MTR 「う~ん、でも、絶対良くないと思うよ」
近藤 「わかるな。好きなことと、できることは違うよね。わたしもジャンルが違う作風に憧れはあるもん。カラフルで、分かりやすいモチーフで、気持ちが明るくなるような……(笑)。でもそれはわたしの役割ではないし、やりたいこととも違うと思って。需要があった時に、わたしは同じ場所にいて、待ってればいいかなって思う」

――音楽もそうですよね。
MTR 「そうですね。僕らも別に、誰かを引き寄せようと思ってるわけじゃなくて、僕らみたいな音楽が合うときもあるかもしれないですね、くらいの感じなんです。そもそも別に音楽じゃなくても良いわけで。絵だってあるし、映画もあるし。アメリカの、広い庭で、ピザがいっぱいあって、パーティしてて、ディーヴァが出てきて歌って、みたいな映画とかフツーに好きだしね。そこに行きたいな、って思うし」
近藤 「あはは(笑)。何の話?」
MTR 「Norah Jonesがいきなり歌い始める映画があったんだよ。そういうの全然、大好きだから。この表現だけが自分だとも全く思ってないしね」

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