HELLCHILD

HELLCHILD

――当時のフライヤーを見ていると、後に山本(将雄)さんが324を結成することになるERODEDをはじめ、“Indrawn Stage”には本当に色々なバンドが出演していますよね。
鈴木 「ERODEDはうちにデモテープが送られてきたんだよね」
Jumbo 「それを聴いてかっこよかったから、2万で2デイズをやる時に誘ったんだよ。初日の一番しか枠がなかったんだけど、それでも来てもらえますか?って聞いたら“行きます”ってすぐに返事をくれて。リハの時にタケダくんのドラムを観てその場にいた全員が驚愕したのを覚えてますね」

――324も、もっと色んな曲を聴いてみたかったですよね。
鈴木 「うん。本当にそうですね」

――現BLACK GANIONの宇野(雄幸)さんが在籍していたRESULTも共演していたんですね。
Jumbo 「やったやった。DISASSOCIATEのツアーの時なんかは名古屋でRESULT、S.D.S.、OUT OF TOUCHとかとやったんじゃなかったかな。クラストのお客さんが300人くらい来て、DISASSOCIATEが“なんで名古屋はこんなにクラストがいるの!?”ってびっくりしてましたね」

――DROOPもよく一緒にやっていらっしゃった印象があります。DROOP大好きなんですけど、HELLCHILDとやっているのは意外だった記憶があります。
鈴木 「DROOPかっこいいですよね」
Jumbo 「SWARRRMのKapoはそのへんからの繋がりですね。あいつがD.E.A.Dっていうインダストリアル系みたいなバンドをやっていた頃で、DROOPのマネージャーだった真野くん(Tag Rag, CH rec, Ignition Record)とKapoは仲が良かったんですよ」

――“Indrawn Stage”にSIGHが出演していたのも意外と言えば意外です。SIGH最高ですけど、少し毛色が違う気もしました。
Jumbo 「川嶋(未来)くんは、夏目くんの大学の同期なんですよ。それで紹介されて出演することになったんですよね。今SIGHでドラムを叩いているジュン(原島淳一 / HELLCHILD, 五人一首, SIGH)が元HELLCHILDっていう繋がりもありますけど」

――なるほど。しかし毛色という話であれば、HELLCHILDはデスメタル、MULTIPLEXはグラインドコアとして認知されていますし、僕の世代からすると東京におけるその2大巨頭というイメージもありますが、どちらもかなりカテゴリからだいぶはみ出た存在ではありますよね。
鈴木 「そうですよね。MULTIPLEXはグラインドというより、MULTIPLEXですよね」

――MULTIPLEXも、HELLCHILDも、フォロワーみたいなバンドがいないんですよね。
鈴木 「ああ……。いないですね。クセが強すぎたのかな……」
Jumbo 「MULTIPLEXは本当にそうですよね。夏目くんはメタルを一切通らずにパンクロックから急にグラインドコアにいった人だったんで。そういうところも独特だったのかな」

――ベースの赤間さんに至ってはAUDIO ACTIVEでもプレイされていたわけですし。
Jumbo 「そうですよね。AUDIO ACTIVEも赤間さんが弾いている時は何回か観ました。赤間さんはこの界隈で一際色んなものに詳しかったですからね。だいたい何にでも精通しているような」

HELLCHILD 'Where The Conflict Reaches', 1993
HELLCHILD ‘Where The Conflict Reaches’, 1993

――HELLCHILDも、『Where the Conflict Reaches』や『Gleam in the Gloom』の時点でかなり、デスメタルなのか何なのか、よくわからなくなっています。
鈴木 「そうですね(笑)。『Gleam in the Gloom』は、CARCASSのオープニングをやることになって急遽リリースが決まったから、実はかなり無理矢理作ったんですよね(笑)」
Jumbo 「そうそう。いつまでに何曲作ってくれ!みたいな感じで(笑)」

――初来日の時ですよね。リスナーとしては、CARCASSって聴かれてました?
鈴木 「もちろん聴いてました。まさか一緒にできるなんて思わなかったですけど」

――CARCASSはその前年に『Heartwork』をリリースしていて、メロディック・デスメタルなんて言葉も使われ始めていましたが、HELLCHILDはもっと以前からメロディを大事にした作風でしたよね。
鈴木 「そうですね、はい」

――当時、デスメタルやグラインドコアの界隈でメロディを多用することに対して、抵抗はないのかな?と思っていました。僕は超初期のAMORPHISとかCONVULSEがジャパコアになったみたいに捉えてたんですけど。
鈴木 「(笑)。単純に、さっき言ったENGLISH DOGSとかTHE CLAY、GASTUNKとかのギター・ソロが好きだったんで。完全にその影響ですね」
Jumbo 「当時自分がHELLCHILDが好きだった理由のひとつはそこですね。メロディアスなソロは、他のデスメタルとかグラインドコアとは違っていたんで」

――かといって、所謂ヘヴィメタル的なメロディとも違うんですよね。そのあたりは意識的にそうされていたのでしょうか。
鈴木 「何も考えてなかったです。その時に出てきたものをやってみる、みたいなノリのほうが強かったですね。あとは色々試して、しっくりきたものを選ぶとか」
Jumbo 「この人、KISSは聴いてるけどオーセンティックなヘヴィメタルは全く通ってないですからね」
鈴木 「ヘヴィメタルはほとんど聴いてないですね。MTVで流れてたのくらいしか知らない(笑)」
Jumbo 「でもまあ、それでメタル系譜のメロディとは違うものになったんじゃないですかね。結果的に」

――そうなんですか……。鈴木さんはギタリストとしてかなり卓越された方なので、所謂へヴィメタル的な鍛錬を積まれているのかと思っていました。
鈴木 「練習はほとんどしていなかったんですよね……。週2でスタジオに入っていたんですけど、曲を作ることで精一杯で……。練習する暇があれば酒飲んでました。当時は」

――信じられないです……。鈴木さんみたいに弾ける方って、なかなかいないと思いますよ。
鈴木 「そんなことないですよ。今の若い子たちのほうが全然巧いじゃないですか。僕はかなりテキトーにやってましたよ……」

――う~ん……。海外のバンドとの共演は、CARCASSが初めてだったんですか?
Jumbo 「たぶんそうですね」

HELLCHILD 'Gleam In The Gloom', 1994
HELLCHILD ‘Gleam In The Gloom’, 1994

――『Gleam in the Gloom』のリリース後は、DISCORDANCE AXISを皮切りに海外バンドとのスプリット作品が増えていきますよね。こういった繋がりはどのように築いていったのでしょうか。
Jumbo 「DISCORDANCE AXISとのスプリットは単純に、HG Factの佐藤(直)さんから誘っていただいた感じでしたね。それこそ僕、それまでDISCORDANCE AXISのこと知らなかったんですよ。スプリットのお話が決まって、音をいただいて初めて聴いたくらいの感じでした」
鈴木 「纐纈くん(RESULT, DEVOUR, 無我 / Devour Records)は関係ないの?」
Jumbo 「うん、その時は。纐纈くんがDISCORDANCE AXISの1st(『Ulterior』1995)を出すより、HG Factのスプリットのほうが早かったんじゃないかな」

――その後も続いたHG Factからの一連のリリースは本当にかっこよかったです。HELLCHILDみたいにメタルフィールド寄りのバンドが、HG Factから出しているというだけでイカしてるじゃないですか。
鈴木 「うん、たしかに(笑)」

――HG Factからのリリースはどういった経緯で決まったんですか?
Jumbo 「当時、佐藤さんと親しかったんですよ。僕、一時期『FOOL’S MATE』でバイトしてたこともあって」

――ああ、そうなんですか!
鈴木 「佐藤さんにインタビューしていただいたこともあったよね」
Jumbo 「最初は、さっきも話に出てきた2デイズのイベントを『FOOL’S MATE』で取材してくださったんですよ。それがきっかけで色々お話をするようになって、だんだん近い存在になっていったんです」

――同じ頃にHG Factは、DEF.MASTERとDISCORDANCE AXISのスプリットもリリースしていますよね。今回のリイシューのライナーで、NarasakiさんがHELLCHILDでも一時期ベースを弾かれていたことがあると知って、びっくりしましたけど。全然知らなかったです。
鈴木 「あはは(笑)。EXPLOSIONから出たVHS(『VIDEO SKULL SMASH Vol.1』1989 *9)では奈良崎がベースを弾いてますよ。3人革ジャンで、1人だけネルシャツ、みたいな(笑)」
Jumbo 「そのビデオ、最後に奈良崎が客に突っ込むんだよね(笑)」
*9 HELLCHILDのほか、CASSANDRA、DEAD CLAW、DEATHBLOW、GABISH、JURASSIC JADE、RAGING FURY、SHELL SHOCK、XENOLITH OGERなどが参加

MULTIPLEX / HELLCHILD split 7", 1995
MULTIPLEX / HELLCHILD split 7″, 1995 HG Fact

――Narasakiさんは今や……トップ作家さんですよね。HELLCHILDでプレイしていた方が、ももクロやBABYMETALの曲を書いているというのは……どんな気分なんですか(笑)?
2人「……複雑な気分(笑)」
鈴木 「BABYMETALは聴かせてもらって、すごいな、とは思いましたけど……」
Jumbo 「(笑)。でもね、奈良崎が書いたももクロの曲はYouTubeでやたら観ましたね。最初はよくわからなかったけど、やっぱり良い曲書いていると思いますよ。奈良崎とCOALTAR OF THE DEEPERSのドラムの菅野(俊嗣)くんは、DEEPERSの前にDISMEMBERっていうバンドもやってたんですよ」

――スウェディッシュ・デスメタルとは関係なくて(笑)。
Jumbo 「そうですね(笑)。クロスオーヴァー・スラッシュみたいなバンドでした。ベースを弾いていた誠くん(青木 誠)は、後にキミドリを結成するんですけど」

――ええっ!まじですか……。
Jumbo 「DISMEMBERかなりかっこよかったんですけど、音源が残ってないんですよね」
鈴木 「うちにデモテープあるよ」
Jumbo 「えっ!デモあったんだ!俺持ってないや……。でもDISMEMBERは短命で、その後に奈良崎と菅野くんが始めたのがCOALTAR OF THE DEEPERSなんですよ」

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