Kyoka

Kyoka

――Mikeさんはどんな風に出合ったんですか?
 「ある日、ロンドンタイムズの人からメールがいきなり来たんです。知らない人だったんですけど、“Mike WattのPodcastでKyokaの曲がたくさんかかってるけど、何であんなにプッシュされてるんだ”って聞かれて。知らないって答えたんですよ(笑)。そしたら、逆にMikeの連絡先を教えてくれて。“こういう人だよ”って。でもどうしたら良いか分からなくて、ありがとうとだけ連絡したら、”Kyokaの曲いつもかけてるんだよ”ってお返事をくれて。“Kyokaの作る曲は何でもベース入れるよ”って。Mikeも含め、なぜかわたし、バンドマンの友達がすごく多いんです(笑)」

――へえ~!バンドマンを引き寄せる磁場か何かがあるんでしょうか(笑)。Kyokaさんの楽曲は、独りでバンドをやってるみたいに聴こえるからかもしれませんね。“エレクトロニカを作ろう”としている音楽とは違って。
 「そうそう、onpa)))))から1stを出す時も“パソコン使ってるけどバンドマンだよねって”言われて、まぁ間(あいだ)かもね、とは思ったんですよ。確かに、エレクトロニカの人って“エレクトロニカ”みたいかも。みんなじゃないけど、そういうのは馴染めないです」

――黒電話666さんやASUNAさんといった方たちとも共演されていますし、所謂“エレクトロニカ”の括りっていう感じは全くないです。
 「そうですね。トクマルシューゴさんとかも近い匂いを感じるかも。先日はsoup(東京・落合)で、sawakoさん、cokiyuさん、34423ちゃんと女子4人だけでライヴをやったんですけど、その時も誰も“エレクトロニカ”っぽくなくて、おもしろかったです」

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Kyoka氏愛用のシンセサイザー / Akitoshi Honda氏が制作

――女子と言えば今回、“Raster-Noton初の女性アーティスト”っていうのがひとつ大きなキャッチになってますよね。女性であることってどういう意味を持つんでしょう。パソコンでの音楽制作は所謂バンドマン的な方法論と違って、肉体的な制約は少ないでしょうし。
 「先日ちょうどドイツの友人と話していたんですけど、彼が最近まで通っていた大学では、プログラミングの授業になるとセメスター毎に女子が減って、最後誰も来なくなっちゃうそうなんです。インターナショナルな大学なんですけど、国籍に限らず、女の人はプログラミングが苦手みたいなんですよね。煮詰まっちゃうんですかねえ。プログラミングにもいくつか種類があって、ことに論理的なものほど脱落する人が多いらしいです。2nd EPを出した時に、坂本龍一さんが“女の人は計算が苦手なイメージがあるけど、Kyokaちゃんはなんでできるんだろう”みたいなコメントをくれたんですけど、実はわたし計算してなくて。みんな細かい調整をする時に、多分数値を入力してるんですけど、わたしはディスプレイをちょっと倒して見えないようにして、マウスだけ使って空気を見て調整してるんです。感覚でやってるんですね。最近たまに電卓を使うようになったけど(笑)。でも基本的に、ディスプレイを観ていると数字に惑わされちゃうんですよ。Frankのスパルタ教育を受けてからは、それをやった上で、最後に小数点を電卓で計算して波の大きさなんかを作ってます」

Kyoka
photo ©Sylvia Steinhäuser

――今回の教授のコメントは、“どういう音楽を聴いてきたら、こういうものを作る女性になっちゃうんだろう?”っていうものですけど、実際どんな音楽を聴いてきたんですか?
 「あんまり聴いてこなかったんです……。教授の作品は聴いてますよ(笑)。“音楽”や“曲”というよりも、“音”や“響き”を尊重していて。人生で何度か“曲”だけ聴いてすごく良いって思ったことはあったんですけど、ある日作った本人に会ったら、人間性が好きになれなくて……。それ以来、仲が良い人が作ってる曲とか聴かせてくれる曲以外は信じられなくなってしまったっていうのはありますね(笑)。自分でピアノの鍵盤を叩いてみたり、カセットで遊んだり。あとラジオの“ブババー”にハマったり。あれ絶対ハマるじゃないですか(笑)。わたし実家が金沢で、日本海側だから、韓国系の音が入ってくるんですよ。そういう変わった感じの、“音”や“物”に注目してきたんですよね。あとバレエとかオーケストラの公演が金沢に来ると、親がよく連れて行ってくれて。でも曲はほとんど聴いてなくて、特定の響き、瞬間ばかりを気にしていたんです。音の部分部分は聴いてるんですけど、“曲”ってあまり聴いてなくて。親がピアノのレッスンを受けさせてくれたこともあったんですけど、バイエルから始めると、鍵盤の真ん中を使わなきゃいけないじゃないですか。でも真ん中の音が好きじゃなくて(笑)。今は好きなんですけど、その頃は。メロディに込めるっていう感じも好きじゃなくて、興味がなくなってしまったり。親はわたしがいつもあんまり1人でピアノを弾いてるから、好きなんだと思ったみたいなんですけどね(笑)。その後、なぜかは忘れたんですけど、親が三味線をわたしと一緒に練習し始めて。津軽三味線だから結構激しくバチバチやるんですけど、ビーンと来る音が良い突き抜け方していて、このアドレナリン!と思ったり(笑)」

――(笑)。その時点でもう1st EPと直結している感じがしますね。GROOPIESのときは更にアグレッシヴでしたし。
 「ですよね(笑)」

――Kyokaさんの楽曲は一貫してビーティではあると思うんですけど、そういう作風になるきっかけみたいなものはあったんでしょうか。昔からテクノを聴いてたというわけではなさそうですよね。
 「全然聴いてないですね。ただ、昔から踊ってる人を見るのが好きで(笑)。スペインにも行っていたことがあるんですけど、スペインの人ってすごい踊るし、アメリカの人もすごい踊る。衝撃だったのが、仲良かったブラジル人の友達のおばあちゃん。100歳超えたヨボヨボのおばあちゃんで、ずーっと座ってるだけなんですけど、嬉しくなると、ちょっと、こう、揺れるんですよ(笑)。それが素敵!と思って。それ以来、踊ってる人を見ると嬉しくなるんです」

Kyoka official site | http://www.ufunfunfufu.com/
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