THE ORB

THE ORB / photo ©Tom Thiel

Lee Perryとの永遠に続く1週間 | Alex Paterson + Thomas Fehlmann

 THE KLFと共に1980年代後半、アンビエント・ハウスのオリジネイターとしてダンス・ミュージックの歴史を塗り変え、その後も持ち前の雑食センスで現在も進化を続ける英国代表クリエイティヴ・チームTHE ORBが、8月に御大Lee “Scratch” Perryとのコラボレーションで制作したアルバム『The Orbserver In The Star House』をリリース。近年、以前にも増して前面にフィーチャーすることが多くなっていたレゲエ / ダブの要素が、よりドラスティックに現れた作品となっています。10月に行なわれた来日公演の際、Lee Perryとの不思議な共同作業、ルーツのひとつであるレゲエ / ダブとTHE ORBの関係について、首謀者であるAlex Paterson氏(以下 P)とThomas Fehlmann氏(以下 F)にお話を伺いました。

取材・文 | 久保田千史 | 2012年10月
通訳 (thanks!) | 若鍋匠太
main photo | ©Tom Thiel

P 「やあ、俺はAlex Paterson。雨の日の朝9時に生まれたんだ」

――……。
P 「それ以来、俺が行く場所行く場所、雨が降るようになっちゃってね」

――今日は良いお天気ですよ。
P 「(Felman氏を抱きしめようとしながら)それはThomasのお陰だね。俺の太陽なんだよね」
F 「そんなの、初めて聞いたよ……」
P 「口で言わなくても分かってるだろ!?」

THE ORB feat. Lee "Scratch" Perry 'The Orbserver In The Star House', 2012
THE ORB feat. Lee “Scratch” Perry ‘The Orbserver In The Star House’, 2012

――とても仲がよろしいんですね……(笑)。まず、最新作のことから聞かせてください。『The Orbserver In The Star House』はLee Perryさんとの共作ですよね。お2人にとっても非常にレジェンダリーな方だと思うのですが、そんな人物との共同作業はどのようなものだったのでしょう?
P 「1週間もの時間をLeeとひとつ屋根の下で過ごせたっていうのは、すごくラッキーだったな。今回はドイツの山奥でのレコーディングだったんだけど、何の邪魔も入らない場所だったんだよね。ホテルからスタジオへの移動が必要な場所だと、色々と誘惑があるだろ?何もなくて音楽に集中できる環境だったから、彼は俺たちのグルーヴをすぐに吸収してくれたし、自然に囲まれた環境だったってこともLeeの歌詞に反映されていると思う。そういうコネクションを生み出すには完璧なシチュエーションだったんだ。そこで俺たちは6日間作業して、7日目に家に帰った。聖書に書いてあるみたいだろ?」

F 「曲作りに関するきっかけが、ここそこに溢れたレコーディングでした。特に私が印象的だったのは、夕陽を背にして地面に落ちた私たち3人の影をLeeが指差して、“影は、肌の色なんて関係ないだろう?”と言っていたことです。その言葉からインスピレーションを得て作り始めた曲もアルバムには入っています」
P 「おもしろかったのは、作業する時間帯かな。Leeは夕方6時から朝6時までやろう、って言うんだよ。それはちょっとキツいです……って思った(笑)。間を採って朝2時まで作業することになったんだけど、それに対してLeeは特に何も言わなかったよ。あとはね、レコーディング中、Leeの映画を撮影しているクルーが入っていた関係で彼はずっとピンマイクを付けていたんだけど、お陰でレコーディングをしていない時に喋っていたことなんかも録音されていて。その素材を作品に使ったりもしたよ。Leeって、こっちから話題を変えない限りずっと同じことを考えて集中してるから。撮影クルーがLeeのお世話を色々してくれていてたのも助かったなあ。そんな風に、色んなことがすべてイイ感じに進んだんだよね」

――伝説的な人物が四六時中一緒にいるという状況は、緊張しませんでしたか?
P 「まあね。でも、緊張している暇っていうものがなかったかな。何が起こるか全く予測できない状況だったし、何を期待して良いのかも分からなかった。彼がベルリンの空港に着いたとしても、そのままその日に帰っちゃうかも……なんてことも考えてたし……彼に関する伝説的なストーリーって色々あるじゃない?だから、俺たちは前もっていくつかビートを用意してレコーディングに臨んだんだ。でも、用意していた分の曲っていうのはあっという間に完成してしまって。あと何日もあるね……という中で出来上がった曲を集めたのがあのアルバムなんだ」

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