THE ORB

THE ORB / photo ©Tom Thiel

――はあ……そうだったんですか……。
F 「NYついては、1980年代にヒップホップが全盛だった頃、レゲエをそこへ取り入れる動きが一部であったと思うのですが、私はそれがあまり好きではありませんでした。Clocktower Recordsからリリースされているものは気に入っていましたけどね。現在のこととなると私には全く分かりません。Basic ChannelはWackie’sとコネクションを築いていますが、その経緯もよく知りませんし……」
P 「まあ、なんだかんだで結局、実際にジャマイカに行かないとレゲエのあの感じは理解できないってことだと思うよ。ちょっとした会話がきっかけで生まれたものが、あっという間にカセットになってリリースされてるっていう、勢い。俺たちの常識では測れないものがあるんだよね。俺もそういう風になりたくて、パンクロッカーだった当時からジャマイカン・コミュニティに入り込もうとがんばっちゃってたんだ」

――KILLING JOKEに関わられていた頃のことですか?
P 「もっと前かな。1970年代後半だね。ジャマイカン・コミュニティで気に入ってもらえるように、レゲエのベースラインを入れた曲を作ってみたり。一度気に入ってもらえると、いつの間にか扱いがジャマイカンになってるってところがおもしろかったな。そういうやり方がTHE ORBのベーシックになってると思う。やっぱりロンドンに色んなカルチャーが溢れていたっていうのが大きいよ。KILLING JOKEのJaz Colemanはインド人だしね。ちなみに、ロンドンのカレーは最高。ロンドンで一番ウマい食べ物はカレーなんじゃないかな(笑)。インドに行った時に食べたのより全然ウマいよ」

THE ORB with Lee "Scratch" Perry / photo ©<a href="https://www.tomthielphotography.com/" target="_blank" rel="noopener"><span style="color: #ffffff;">Tom Thiel</span></a>

――そんな(笑)。英国のカルチャーで言えば、THE ORBはPINK FLOYDのモチーフをよく用いていますよね。PINK FLOYD本人たちはともかく、彼らを支持したヒッピーと、レゲエやパンクは相反するカルチャーですよね。両者のミックスに抵抗はなかったのですか?
F 「アトモスフェリックな音作りなどからTHE ORBをPINK FLOYDからの影響だと評してくれている方もいらっしゃるようですが、それはかなり表面的な部分なんです」
P 「そうだね。俺たちの“Back Side of the Moon”(1991年のアルバム『The Orb’s Adventures Beyond The Ultraworld』に収録)なんて、本家が聴いたら怒るんじゃないかな(笑)」
F 「そうそう(笑)。音楽的に特別影響を受けたとは思っていません。初期の実験的な姿勢はとても好きでしたが、『The Dark Side Of The Moon』や『Wish You Were Here』の頃にはコマーシャル過ぎて興味を失っていました。まだ私が音楽を始ていない頃の話です。THE ORBは、Alexが持っていたパンクからの影響に、私が長年聴き続けているジャズの影響がミックスされたものが加わって誕生したと考えています」
P 「そうだね。空間的な音作りに関して名前を挙げるとすれば、Brian Enoかな。俺たちはあんなにシリアスではないけどね。彼がベルリンから持ち帰った“アンビエント”って考え方とか、アーティスティックな姿勢には衝撃を受けたよ。Cluster & Enoの素晴らしいアルバムなんかからね。だからPINK FLOYDよりもクラウトロックの影響の方が強いんだと思う。そこは俺たち2人の共通点だね」

――なるほど。先ほどPINK FLOYDのパロディのお話が出ましたが、THE ORBはユーモアも重要な要素のひとつだと思います。暮らす場所も、ご出身も異なるお2人ですが、お互いに笑いのツボがちょっと違うな……と感じることはありますか?
F 「私はスイス出身なので、ユーモアのセンスなんて微塵もありませんね」
P 「そんなことないって。ユーモアがないのはドイツ人だろ?俺はアンタの国の、頭にリンゴ載っけて射る話、結構好きだな。ウケる(笑)」
F 「(笑)。真面目な話に戻しましょう。今回はヴォーカル・アルバムなので特別でしたが、普段の私たちは曲の制作に際して、言葉をほとんど用いず音だけでコネクトしています。音に関するユーモアの共通点は、自然に発生してくるものなんです。ですからそのあたりは何も問題ありませんね。お互いが密かに織り込んでいたジョークに後から気付く、といったことはありますが」

――失礼かもしれませんが、小説家のようなFelmanさんとフットボールが好きそう(実際大好き)なPatersonさん、ルックスからしてお2人はキャラクターが随分違いますよね。THE ORBとして20年以上も仲良く音楽を続けていられる秘訣って何なんでしょう。
P 「そうなんだよな、確かに結構ルックス違うんだよな……。俺はベジタリアンで、Thomasは肉も食べるんだけど、レストランに行って注文して、料理が出てくるだろ?絶対俺の前に肉料理が置かれるんだよね(笑)」
F 「(笑)」
P 「たぶん、長く続いてる秘訣っていうのは、考える必要のないことなんだと思うよ。だってさ、それを考え始めたら、俺、何でこんな奴と音楽やってるんだ!? って気分になってくるだろ(笑)?」
F 「(笑)」
P 「ウソだって(笑)。何だろう、Thomasから学ぶことがなくならないからじゃないかな。常に新しいことを教えてもらって、吸収しているんだよ」
F 「それは私も同じですね。Alexから学ぶことが常に多くあります。離れて暮らしているのが功を奏してるのかもしれません。2人で会う時に毎回フレッシュな状態になっているというのは、長続きの秘訣と言えるでしょうね」

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