ENDON

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――そのガシャガシャを、レコーディングにはどう投入したのでしょうか。
宮部 「まずタイちゃん以外の全員でスタジオに入って、バンド録音で一発でやっちゃいます。ギターとドラムに関しては、そこで録ったテイクがほとんど本チャンです。ノイズはそれを踏まえて作り込んで、部分的に撮り直したりしました」
那倉 「お金の問題とかもあって、タイトなわけですよ。ノイズの奴らは、ラフ録って、昼間録ったギター / ドラムと合わせて夜寝る時間を削ってきっちり作る。要はPCで作業できることが多いわけですよ。それを次の日の朝、Kurtに提出。ブラックレコーディングです(笑)」

――限られた時間の中で、やっぱりかっちり作っていらっしゃるんですね。それもあってか、ノイズ的にこういう言い方はヘンかもしれないですけど“綺麗”ですよね。日本のノイズ特有の刺す高域の出方みたいなのも全然なくなって、音響的にも、楽曲的にも、聴き易いです。
那倉 「10年代以降のものとして、所謂アンビエント化だと思うんですよね。例えばFrank OceanがアンビエントR&Bって言われたりするような。私的にはアトモスフェリックにするというのとは微妙に違う感覚です」

――そこを“壮大になった”と言われてしまう向きもあると思うんですけど。
那倉 「いいんじゃないですか?でもそれはロックに限った“壮大”を扱ってるわけではないんですよ。大きなメロディと大きくないメロディ、大きなアレンジ、小さなアレンジっていうのはやっぱりあって、僕たちは大きな音楽と大きなアレンジに接近していったっていうことです」
宮部 「そうだね、うるさい音楽なのに曲が覚えられるとか」
那倉 「音楽史の中でお気に入りの楽派というか潮流があって、所謂“新しい単純性”とか“新調性派”とか言われるような。偏愛するのはヘンリク・グレツキとかフレデリック・ジェフスキ、コーネリアス・カーデュとかなんですが、大きなメロディはやっぱりそういうところからですね。昔ジェフスキの『不屈の民』を遊びでブラックメタル調にカヴァーするなんて話もあったくらいで」

――それが曲単位のみならず、アルバム単位で機能しているのも良いですよね。長さを感じないの流れというか。
宮部 「ああ!よかった。嬉しいです。一筆書きみたいに演奏が流れていくっていうのは、骨格の段階ですごく意識しました。今回50分くらいあるんですけど、アルバムとして簡単に聴けるものにしたかったんですよ。ハマっちゃえば50分のノイズってすごい気持ち良いとは思うんですけど、もうちょっと生活の中で聴けるものにしたかった。強弱があったり」
那倉 「クラシックとか映画音楽からの援用ですね。テーマを複雑にするんじゃなくて、クラシックのメインテーマみたいなものだけが繋がっていって、音響効果がバンバン変わるだけにするっていう。流れていく中で、カットをかけてく。そこで淀みとか違和感が作られるんですけど、快楽重視で作っているので、それも流れていくように。快楽の範疇を超えた違和感の置き方はしていないんですよ。そういう成立要件とで言うと、サイケに近いのかもしれない。あまり聴かないからわからないですけど」

――う~ん、でもその成立要件で言えば、サイケというよりやっぱりテクノに近い感じがしました。テクノと言っても、曲単体というより、現場の感じというか。良いDJがいるような。
宮部 「あ~、そうですね。DJの人たちって、自分のグルーヴのままに、自分の一番気持ち良いところを作っていくじゃないですか。それが良かったら客も反応する。うん、それはすごく似た感覚だと思います」
那倉 「そうなるのはやっぱり今回、幸宜が全部曲を作って、楽器の置き方を統制してるからですよね。ロックだからやっぱりギターがエラいんですよ。“ギターと関わるものとしてのノイズ”っていう作り込みを、幸宜はしっかりやったんだと思う」
宮部 「今回は、“ノイズという音”を把握するために使うというよりは、もっと音響効果として鳴らすためにノイズを使ってる。それって、昔のバンドがわざわざ大きいホールとかでレコーディングするとかっていう話と同じだと思うんですよ。小さい場所であっても、ノイズが場所を変えてくれるというか。そういうのがバンドの中にノイズがいるということだと思うんですよ。それと僕らは“feat. ノイズ”じゃないんで。ベーシストがいない代わりにノイズがいるし、リードギターがいない代わりにノイズがいるんですよ」

――そう考えると、ENDONてめちゃくちゃオールドスクールなバンドですね(笑)。
宮部 「そう、めちゃくちゃフツーのバンドがやりたいんですよ。前のインタビューで言ったみたいに、ツェッペリンじゃないですけど」
那倉 「出てくるのが遅かったからまあ、若手風にアレですけど、年齢と趣味から考えると、もう、軽くプチ老害入ってますから(笑)」

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